やらなければいけない仕事や勉強がある。それなのに、気づけばスマホを手に取り、SNSや動画をダラダラと見てしまう。なぜ私たちは、やるべきことを先延ばしにしてしまうのでしょうか。500万ダウンロードを突破したアプリ「集中」の開発者・戸田大介さんに、先延ばし克服の方法を聞きました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「締切前にならないと動けない人」が一瞬で動き出せる「10分ルール」Photo: Adobe Stock

脳は「目の前にあるスマホ」を選んでしまう

――やらなければいけないことがあるのに、いつもスマホでダラダラ過ごしてしまいます。どうすれば、先延ばしグセをやめられるのでしょうか。

戸田大介:まず知っておいてほしいのは、ダラダラとスマホで時間をつぶしてしまうのは、「自分は面倒くさがりだから」とか「意志が弱いから」ではないということです。

 そもそも人の脳は、「未来のための努力」よりも「目の前の楽しさ」を選びやすくできています。

 たとえば、資格の勉強をすれば、将来の仕事に役立つかもしれません。しかし、その成果を得られるのはずっと先です。一方、スマホを開けば、SNSや動画によって、その場ですぐに刺激を得られます。

 やるべきことがあるとわかっていても、目の前にスマホがあれば、脳は簡単に楽しめる方を選んでしまいます。これは意志が弱いからではなく、人間をふくむ動物は、本能的にそうなるようになっているためです。動物は基本的に、「将来のためにがんばる」よりも「目の前の欲に忠実である」方が、生き延びやすい傾向があります。

「まだ時間がある」と思うと、人は動かない

「まだ時間がある」と感じてしまうことも、先延ばしの大きな原因です。

 締め切りまで余裕があると手をつけられないのに、締め切り直前になると急に集中できる。そんな経験はありませんか。

 人は「もう時間がない」と感じれば、どれほど面倒でも動き始めます。反対に、「明日でもできる」「週末にやればいい」と思えるうちは、どうしても行動を起こしにくくなります。いつでもできるからこそ、いつまでも始められないのです。

 皮肉なことに、締め切りが先の仕事ほど、自分にとって本当に重要なプロジェクトであることも少なくありません。どれほど重要なことであっても、人は締め切りが迫らなければ、後回しにしてしまいます。

作業量を大きく感じるほど、後回ししやすくなる

 さらに、イメージする作業量が大きいと、何もできなくなることがあります。

 人は何かに取りかかろうとするとき、無意識にその作業量をイメージします。このとき、イメージする作業量が大きいほど、行動は面倒に感じられ、後回しにされやすくなります。

 たとえば、「この作業には、3時間はかかりそうだ」と感じると、疲れているときには「今はできない」と脳が判断してしまいます。本来であれば、少しずつでも進めておくべきだったのに、まったく手を付けずに、放置してしまうのです。

【解決策】「10分だけ」のタイマーで、先延ばしを止める

 こうした先延ばしを防ぐには、短い時間のタイマーをセットするのが効果的です。最初は10分のタイマーをセットしてみるのがおすすめです。

 ポイントは2点。1つ目は、準備を始める前にタイマーをスタートさせることです。必要なものを机に出す時間や、パソコンを立ち上げる時間も含めて、10分で構いません。

 2点目は、「10分たったら、本当にやめてもいい」と思うことです。「まず10分」と言いながら、本当は1時間続けなければならないと思っていたら、脳が感じる負担は小さくなりません。

 こうすると、先に述べた問題が一気に解決します。タイマーが動き始めると、「まだ時間がある」という感覚がなくなり、同時に、イメージする作業量も小さくなるため、圧倒的に行動を始めやすくなるのです。

 やるべきことを先延ばししてしまうのは、意志が弱いからではなく、その人を取り囲む「状況」の問題です。「スマホをすぐ開ける」「まだ時間がある」「作業量を多く感じてしまう」という状況が、知らず知らずに行動を妨げています。

 まずはスマホが目に入りにくい状況をつくり、10分だけタイマーをかけてみる。先延ばしをやめるには、自分を奮い立たせるよりも、行動を開始しやすい環境をつくることが効果的です。

(この記事は、『脱スマホ術――「何もせず1日が終わった」がなくなる』の著者戸田大介氏へのインタビューです)