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「立ち食いそばは駅前で売るもの」――そんな常識を覆し、22年連続黒字、全国200店舗超にまで成長したのが「ゆで太郎」だ。狙ったのは、駅前の一等地ではなく「郊外」。しかも、効率化を進めながら、味には一切妥協しない。なぜ、後発のそばチェーンがこれほどまでに支持されるようになったのか。「速さ」よりも「うまさ」を重視した、ゆで太郎独自のもうかる仕組みをひもとく。※本稿は、株式会社ゆで太郎システム代表取締役の池田智昭『ゆで太郎の儲かる仕組み 22年連続黒字を支えるがっちり経営術』(ワニブックス)の一部を抜粋・編集したものです。
「立ち食いそばですよね?」 ゆで太郎がキッパリ否定するワケ
「ゆで太郎は、立ち食いそばではありません」
よく「立ち食いそばですよね」と言われるんですが、私たちは立ち食いそばではない、という強い信念を持っています。これは業態の話ではなく、もっと根本的な話です。
そもそもゆで太郎のルーツをお話しすると、信越食品がつくった、町のそば屋による立ち食いそばが出発点でしたから、最初は確かに立ち食いそばだったんです。
立ち食いそばというのは、駅前やオフィス街という立地でこそ成立する業態で、スーツ姿の会社員が多く利用することを狙って値段を安く抑え、その分、スピードと利便性の良さを重視しています。
一般的な立ち食いそばとはどんなものをイメージするでしょう。麺は茹で置き、天ぷらは揚げ置き。注文が入ったらさっと麺を温め直して、さっと提供する。お客さんはあっという間に食べてパッと店を後にする。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。スピードを優先するからそうなるのであって、お客様のニーズがそういうものなんです。
富士そばを起こした丹道夫さんがご著書の中で「自分たちは不動産屋だ」とおっしゃっていましたが、立ち食いそばとはいかに駅前の目につくいい立地を押さえるかを競う商売です。
私が変えていったのは、その前提です。
私が狙ったのは郊外の需要でした。最初にロードサイドに出店してみたところ、都心と同じメニューが同じように売れたんですね。
ロードサイド出店の成功がゆで太郎の未来を決めた。 同書より転載
町のそば屋が矜持を持った
立ち食い形式の店という狙い
実は郊外出店にあたっては、ファミリー層を見込んでもう少し高単価なメニューを充実させようと思っていたんです。しかし、売り上げを分析してみたら都心の売れ筋とまったく同じように売れていく。東京でやっているのと同じスタイルで郊外でやって、普通にっていうか想定したよりも受けちゃったんです。
逆にうまくいかなかったのは小さな駅前にある商店街への出店です。これまで4店舗ほど閉めていますが、よく考えてみれば、住んでいる方はいても、勤めに出る人は駅から電車に乗って違う町に向かってしまいます。昼にいるのはご高齢の方やお母さんと子供さん。大きな商店街であればそこで働く人が利用してくれますが、小さな町の小さなお店は家族経営が多く、外でご飯を食べませんから、うまくいかなかったのだと思います。
男性ならたいてい若い頃に駅近くで立ち食いそばを食べた記憶を持っています。立ったままつゆとそばをずずっとすすった思い出がある。私自身、高校生の頃に東京・神田駅前の名もなき立ち食いそば屋で天そばを食べるのが楽しみでした。立ち食いそばに関しては、皆さん味の原風景があるんですね。







