「勉強しなさい!」と声をかけても、隙あらばスマホを触る我が子。試験前や受験期でも一向に机に向かわない時、親はどうアプローチすればいいのでしょうか。500万ダウンロードを突破し、中学生や高校生にも愛用者の多いアプリ「集中」の開発者・戸田大介さんに「勉強の集中力が高まる秘訣」を聞きました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
――戸田さんは、中高生にも利用者の多いアプリ「集中」を開発されていますが、子どもが勉強に集中できるようになるためには、どのようなことが大切なのでしょうか。
戸田大介(以下、戸田):勉強する気が起きなかったり、勉強を先延ばしにしてしまったりするのは、脳の仕組みや心理的な要因が大きく関係していると考えられています。
スマホがすぐ手の届く場所にある
人の脳は、「未来のための努力」よりも、「目の前の快楽」を優先するようにできています。
たとえば、目の前に美味しそうなケーキがあるのに、「ダイエットしてるから」という理由で我慢しようとしても、手を伸ばしてしまうのは時間の問題ですよね。
SNSや動画アプリをすぐに開けるということは、「瞬時に強い快楽を得られる誘惑」が目の前にある状況です。「いつもスマホを見ている人」はほとんど全員と言っていいほど、こうした誘惑に対して有効な対策をしておらず、「いつでも一瞬でスマホを開ける状況」に四六時中、身を置いています。
「勉強しなきゃ」と思いながら、それに抗うのは、子どもだけでなく、大人でもほとんど不可能です。
「まだ時間がある」と感じている
「まだ時間がある」と感じてしまうことも、「勉強に手がつかない」大きな要因です。
締め切りギリギリで、「もう時間がない」と感じさえすれば、どんなに面倒だと感じても人は動き出します。
夏休みの宿題を最終日に一気に進める子どもが多いのも、締切が近づいて初めて「もう時間がない」と感じられるからです。
勉強に対して「嫌なイメージ」が強い
実は、真面目な子どもほど陥りやすい落とし穴もあります。
疲れて集中力がとっくに切れているのに、無理して席に座りつづけてしまうことです。
そうした経験が多い子どもほど、「勉強=つらい」というイメージが脳に刻まれてしまいます。
「またあの苦しい時間が始まる」と無意識に感じて、机に向かうこと自体が嫌になってしまっているのです。
動画やSNSアプリとの「距離」を変える
――では、こうした子どもが、自然と勉強に集中するには、どうすればいいのでしょうか。
戸田:よく「スマホは1時間まで」と決めたりする話を聞きますが、実はあまり効果がないことがわかっています。
先ほどのケーキの話と同じで、状況が何も変わっていないからです。「スマホは1時間まで」と言われたところで、「無防備なスマホがいつも目の前にあって、2秒あれば開ける」という状況は変わりません。
そうではなく、スマホの設定で、アプリの利用時間を制限したり、動画の自動再生をオフにしたりして、「つい見続けてしまう環境」を変えるほうが効果的です。
また、勉強中はスマホを部屋の外に置くだけでも、かなり集中力が上がります。「こんな小さなことで?」と意外に感じるほど、これには大きな効果があります。
タイマーで、締め切りと緊張感をつくる
他にも、勉強の集中力を高めるうえで効果があるのは、机に向かう前にタイマーをセットすることです。
タイマーの具体的な使い方については、『脱スマホ術』という本で詳しく説明しているでぜひそちらをご覧いただきたいのですが、タイマーを押して、残り時間が減っていくのを見ると、脳は「時間がない」と錯覚します。そうすると、「やらなきゃ」という気持ちが、自然と生まれやすくなります。
めんどくさがり屋の子どもでも、夏休み最終日には宿題がはかどるのと同じで、目の前に明確な締切が現れることで、自然と行動したくなるのです。
疲れる「前」に、勉強を切り上げる
さらに、意外に思われるかもしれませんが、「疲れる前」に短い休憩を入れたり、その日の勉強を切り上げることも大切です。
ヘトヘトになるまで頑張ると、「勉強はつらい」という記憶ばかりが残ります。一方で、「やり足りないな」という余力を残して終えると、「また続きがやりたい」という感覚が残ります。
その日長く机に向かうことより、「また机に向かいたい」と思える状態が続くほうが、結果的には勉強に集中しやすくなるのです。
(この記事は、『脱スマホ術──「何もせず1日が終わった」がなくなる』の著者戸田大介氏へのインタビューです)








