部下の仕事の進捗が気になり、上司の側から「あの件、あれからどうなった?」と頻繁に追いかける。マメで面倒見の良い上司に思えますが、これは部下の当事者意識(責任感)を奪い、上司自身の時間を際限なく奪い去る悪循環の始まりです。報告の主導権は、常に「下から上」へ自発的に行われなければなりません。この記事では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、締め切りの正しい設計方法と、ストレスのないチーム運営について解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「あれってどうなった?」と部下に進捗を聞いている上司が、永遠に楽になれないワケPhoto: Adobe Stock

進捗確認を追いかけるマメな上司の落とし穴

 40代、50代のリーダーがよく陥るのが、「部下がちゃんとやっているか不安で仕方がない」という状態です。

「あの提案書、進んでる?」
「昨日のトラブルの件、どうなった?」

 このように、上司自らが部下の進捗を追いかけ、確認しにいく。

 本人は「マメに進捗をチェックする有能な上司」のつもりかもしれません。

 しかし、これはマネジメントとして完全に間違っています。

 上司から確認されることに慣れてしまった部下は、「どうせ進捗が遅れていれば上司が聞いてくるだろう」と考え、締め切りや報告への当事者意識を失います

 結果として、上司はいつまでも部下を追いかけ回さなければならなくなり、自分の本来の仕事に集中できず、永遠に忙しさから抜け出すことができません。

進捗を追いかけないための「締め切り設計」

『リーダーの仮面』という本では、このような進捗確認の無駄を排除し、自律的に動く組織を作るための設計について、次のように書かれています。

部下に指示をするときに、必ずやるべきことがあります。
それは、「締め切り」の設定です。
よく聞くのが、「時間があるときでいいから」といったお願いの仕方ですが、絶対にNGです。
指示に期限を入れていないと、上司から部下へ「あれって、どうなっている?」と確認しなければいけなくなります。
指示は「上から下」で、その後の報告は必ず「下から上」になるようにすべきです。
そのためにも、締め切り設定は必要です。
――『リーダーの仮面』より

 どんな些細な仕事であっても、必ず「締め切り」という期限を設定します。

 そして、「締め切りが来る前に、結果を部下から報告させる」というルールを徹底するのです。

 上司から声をかけるのではなく、部下から報告させることを徹底することが重要です。

定年後も「価値ある存在」でいるために

 定年が視野に入る世代だからこそ、「自分がいなければ回らない現場」という属人化に依存してはいけません。

 上司が追いかけ回さなければ動かない組織は、あなたの不在時に一瞬で麻痺します。

 リーダーは仮面をかぶり、自分の「感情」を挟まずに「締め切りと報告のルール」を機械的に回しましょう

 報告に対して大げさに褒めたり叱ったりせず、ただ事実を淡々と受け取る。

 この無機質な管理を徹底することで、部下は締め切りを意識して自走するようになり、あなたのチームは「上司が不在でも回り続ける強固な仕組み」へと成長していくのです。