「定年退職したら、のんびり好きなことをして過ごそう」。そう楽しみにしているビジネスパーソンは多い。しかし、実際に定年を迎え、ポッカリと自由な時間が出来上がったとき、急激な虚無感に襲われる人が後を絶たない。それまで仕事中心の生活を送ってきた人ほど、突然「今日何をすればいいのかわからない」という孤独に陥ってしまうのだ。仕事がなくなった後も、自分自身の内側から意欲を湧かせ、毎日を充実させるために必要なのは何なのか。書籍『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』と話題の一冊から、相談者に響いた名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「定年後に虚しくなる人」が40代のうちに作っておくべき趣味・ベスト1Photo: Adobe Stock

「モノのご褒美」から「自分のための時間」へ

 多くの働く人は、過酷な仕事を乗り切るために「がんばった自分へのご褒美」として高級なモノやブランド品を買いがちだ。

 しかし、忙しさのあまり買ったモノを楽しむ時間すらなく、ただストレス発散のために支出を重ね、その支払いのために再び嫌な仕事に縛られるという悪循環に陥っている。

 カフェで主人公が出会った元広告会社幹部のアンは、この負のスパイラルから抜け出し、自分自身の人生を取り戻したプロセスについて次のように語っている。

「毎週少しずつ自分の時間を作るようになったわ。一生懸命働いたご褒美として、自分にモノをあげるのをやめた。その代わりに、ご褒美は、自分がしたいことをする時間になったの。毎日、少なくとも1時間は、本当に好きなことに時間を費やすようにしたわ。いつの日にか、1時間は2時間になり、さらに3時間に増えた。そしていつしか、やりたいことに完全に集中していたの。『自分はなぜここにいるのか?』という質問の答えを満たすようなことに」
――『世界の果てのカフェ』より

「成長を体感できる時間」を確保せよ

 定年後に虚しくなる人が見落としているのは、趣味とは「時間が出来たら始めるもの」ではなく、自分の存在理由を満たすための「時間投資」であるという点だ。

 単なる受動的な娯楽ではなく、読書、執筆、園芸、料理。

 あるいは新しいスキルの習得など、時間をかけて自分の手で上達や成長を実感できる活動を、毎日小さく積み重ねること。

 アンが語ったように、1日1時間でも「自分の本当に好きなこと」に時間を割く習慣を作っておけばいい。

 定年退職はアイデンティティの喪失ではなく、自分のやりたいことに100%集中できる最高の黄金期の始まりとなる。

 会社の肩書を外した自分に、どれだけ情熱を注げる時間があるか。

 今すぐ自分の手でその時間を予約するようにしよう。