世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”出口治明元APU学長。宮部みゆき氏などから絶賛されている出口氏の『哲学と宗教全史』をもとに、哲学と宗教の視点から探る「ヒュームの哲学」とは? ライターの照宮遼子氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
Photo: Adobe Stock
元旦の十社巡りを3年続けた理由
東京には「東京十社」と呼ばれる神社がある。
私の場合、ある年の元旦にその十社をすべて巡ったところ、翌月にフリーランスとして独立することができた。
翌年も、その翌年も、元旦には同じように参拝し、売上も少しずつ伸びていった。
気づけば、元旦の十社巡りは、新しい一年をいい方向へ動かすための恒例行事になっていた。
その後、郊外へ引っ越すことになり、元旦の十社巡りができなくなってしまった。
しかし、仕事は今も順調に続いている。
ヒュームが提起した「因果関係の罠」とは?
2つの出来事が何度も続けて起きると、つい何か関係があるのではないかと考えてしまう。
そんな「原因」と「結果」の捉え方に疑問を投げかけたのが、『哲学と宗教全史』(出口治明著)で紹介されている、イギリスの哲学者デイヴィッド・ヒューム(1711~1776)である。
けれどもそれは、心の中でしか成立しない連想の必然性である。
本人のみが信じる虚偽の観念なのだと、ヒュームは考えました。
――『哲学と宗教全史』より
ヒュームは、人が原因と結果を結びつけるのは、これまでの経験をもとに「次もこうなるだろう」と思う心の癖によるものではないかと考えた。
実際、同じことが何度か続くと、それを一つのパターンとして受け止めやすい。
しかし、これまでそうだったからといって、次も必ず同じことが起きるとは限らない。
「うまくいった理由」の見方が変わる!
成功者が読書や運動を習慣にしていると、つい「これが成功した理由なのだ」と考えてしまう。
誰かのやり方を参考にすることには意味があるが、その人がやっていたことと、結果につながった理由は必ずしも同じではない。
目にした成功法則をすぐに取り入れるのではなく、一度立ち止まって考えてみる。
ヒュームの思想は、そんな慎重さの大切さを教えてくれる。





