世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”出口治明元APU学長。宮部みゆき氏などから絶賛されている出口氏の『哲学と宗教全史』をもとに、哲学と宗教の視点から見る「荀子が説いた『学び』の力」とは? ライターの照宮遼子氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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文章を書くことへの苦手意識
ライターになったとき、専門的に文章を学んでいたわけではなかった。
学生時代から国語は得意ではなく、文章を書くことにも苦手意識を持っていた。
仕事として文章を書くようになってからも、最初は修正の連続だった。
書いた原稿が戻ってくるたびに、どこが読みにくかったのか、何を直せば伝わるのかを考え込んだ。正直、最初のころは、自分には向いていないのではないかと悩むことが多かった。
荀子に学ぶ「師を超えるほど優れた人」とは?
できないことを前にすると、人はつい才能の有無で自分を判断してしまう。
『哲学と宗教全史』(出口治明著)で紹介される中国の思想家・荀子(BC313~BC238)の考え方は、そうした見方を少し変えてくれる。
顔料の青は植物の藍から取るが、藍よりも青くて美しくなる。(中略)
信頼できる優れた先生から体系的にきちんと学べば、師を超えるほどの優れた人物になることもできるという意味です。
――『哲学と宗教全史』より
荀子は、人は生まれつき完成された存在ではなく、学びや教えによって磨かれていくと考えた。
ここで重要なのは、才能がある人だけが伸びるという話ではなく、よい教えを受けることで、元の自分とは違う形になっていけるという点である。
早く結果を出そうとすると、指摘されることを失敗のように感じてしまうことがある。
けれど、荀子の言葉は、未熟さそのものより、誰から、どのように学ぶかに目を向けさせてくれる。
人は変われる!
うまくいかないことほど、自己流でなんとかしようとしてしまうことがある。
けれど、自分ひとりでは、どこでつまずいているのかに気づきにくい。
学ぶことは、知識を増やすだけでなく、自分では気づけなかった癖や思い込みを直していく時間でもある。
本書には、人間の欲や苦しみ、学びや社会のあり方について、思想家たちが残した考え方が収められている。できない自分に落ち込みがちな人でも、人は学びによって少しずつ変わっていけるのだ。





