悩まない人の「頭の中」では何が起こっているのか? いま英語、ドイツ語、スペイン語、オランダ語、ロシア語、イタリア語など翻訳オファーが殺到している話題書がある。木下勝寿氏の『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』だ。本書から「成功者が見ている未来と凡人が生きている世界の違い」をライター柴田賢三氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

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想像もつかなかった未来

 私が社会人になったばかりの30年以上前、ある大学教授にこう言われた。

「柴田くんは将来、自分で会社をつくりたいとか思わないの?」

 当時は大学を出て大手企業に就職し、定年まで勤め上げるのが“正解”とされていて、ベンチャーなんて言葉もなかった時代だ。私は即座にこう答えた。

「そんな金ありませんし、想像もつきません」

我々の世代は…

 父親ほど年上の大学教授とは取材で知り合って以来、よくお酒に誘ってもらい、いろいろなことを教わっていた。

「君はアイデアマンだから、なにかできそうな気がするけど。金の心配なんか後回しにして、ぼんやりでいいから将来的な夢も見ておいたほうがいいよ」

 未熟な私は、こう答えた。

「今の会社は、ほとんどが高度経済成長期の波に乗って成功しているじゃないですか。あの頃は、どこかで物を拾って売るところから始めても成長できたかもしれませんが、我々の世代はそうはいかないと思います」

資金ゼロでも世界企業がつくれる時代

 実際、私が社会人になったときにはバブルも崩壊し、立派な大学を出ても就職できない友人たちであふれていたが、教授はこう言った。

「もっと視野を広く持ちなさい。君が言った高度経済成長期のような波が来そうな業界もあるはずだから」

「北の達人コーポレーション」の社長・木下勝寿氏の著書『悩まない人の考え方──1日1つインストールする一生悩まないスキル30』の中に、こんな一文がある。

「事業を始めるには資金がいる」という理屈は、現代ではまったく通用しない。特にネットビジネスの世界では、資金ゼロでスタートした企業は珍しくない。(中略)
ヤフー、グーグル、メタ、マイクロソフトなどは、そもそも学生がほぼ資金ゼロで始めたビジネスだ。資金ゼロでも世界企業すらつくれるのが現代だ。

――『悩まない人の考え方』より

 木下氏自身、それを体現しているのだから、これほど説得力のある言葉もない。同書には、悩まないためのヒント以外にも、起業家たちの意外にもシンプルな考え方が散りばめられていて、人生の参考になる。

 私に将来的な起業を勧めた教授は、木下氏のような人たちが活躍する未来が見えていたのだろう。あのとき、教授の言っていることを真剣に聞いていれば……と思ったこともあるが、私は文章を書くことが好きなので、フリーライターで食えているだけで幸せだなとも思う。