ここにきて米国株式市場でS&P500が過去最高値を更新したが、日経平均は乱高下している。
こんなとき、「貯金」か「投資」か、何を軸に判断したらいいのか? そこでライターの米多寿樹氏が「貯金と投資の名著」を厳選。「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書」と絶賛されているベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』のエッセンスを特別配信する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

「投資のトラウマを捨てられない人」の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

暴落時の投資法とは?

本は原則、その本が最初に出版される国の読者のために書かれる。
たとえ普遍的な内容を扱った本であっても、その事実は変わらない。
この記事で紹介している『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』も投資についての普遍的な考え方を扱った本だが、それでもやはり日本の読者を想定していないがゆえに書ける記述もある。

その最たる箇所のひとつが、第17章「暴落時の投資法――パニック時でも平静さを保つメンタル」だ。

この章では市場が大暴落しているとき、投資家はどのようなマインドセットを持って行動するべきかが、著者自身の体験談を交えつつ描かれている。

下落傾向時にあわてて売るのは間違いであり、むしろ余裕があるなら、市場が底値を打つタイミングを狙って投資するべきである。
そこからどのくらいのスパンで下落分を取り戻すことができるか、大きなリターンを得ることができるかを、著者は丁寧な数字のシミュレーションを示して見せる。

だが、誠実な著者がそこで例外的な市場の動きを説明するとき、日本の読者にとってはギョッとするような記述が登場するのだ。日本市場の「失われた30年」の問題である。

投資のトラウマをずっと捨てられない人、捨てられる人

「ほとんどの市場は、ほとんどの期間、上昇している」という本書の訴える重要なテーゼ。
この「ほとんど」の枠の外にある、稀有な例外事象。それが1989~2020年までの日本だった。

私が長期投資の重要性を主張するとき、おもな反例となるのが日本株だ。
だが、他にも同じような市場はある。
たとえば、2020年末時点で、2008年の高値から、ロシア株は50%、ギリシャ株は98%下落している。これらの市場はいつ回復するか? 誰もわからない、
とはいえ、例外によってルールを上書きするべきではない。
――『JUST KEEP BUYING』より

気を遣っていない書きぶりだからこそ、逆にここから日本の読者は学ぶことができる。
おそらく、未だに投資に踏み出せていない人というのは、この30年間の記憶――直接的な経験というより、それによってメディア等によって醸成された日本の「空気」(山本七平)――に縛られているのではないか、と。

その集団的なトラウマから、早く自由になったほうがいい。
『JUST KEEP BUYING』はそんな気づきも与えてくれる一冊だ。