ここにきて米国株式市場でS&P500が過去最高値を更新したが、日経平均は乱高下している。
こんなとき、「貯金」か「投資」か、何を軸に判断したらいいのか? そこでライターの米多寿樹氏が「貯金と投資の名著」を厳選。「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書」と絶賛されているベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』のエッセンスを特別配信する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

「何十年も現金で持ったままチャンスを逃し続けている人」の共通点・ワースト1Photo: Adobe Stock

「リスクを恐れるな」と人生論

投資について考えるほど、人生について考え始めてしまう。
投資とはただの手段ではなく、全人格的なもののように思えてきてしまう。

『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の内容も後半に進むほど、人生論としての色彩を強く帯び始める。

もちろん、その議論においてはデータと理論を駆使し、精緻な議論が展開されているのだが、伝えようとしている本質の部分において人生論的なのだ。

たとえば、第16章「相場の変動を恐れるな――投資で成功するための『入場料』」における下記のくだり。

金融メディアは、ヘッジファンドが大失敗したり、宝くじに当たった人が破産したりすると大きく取り上げる。
だが、何十年も現金で持ったまま富を築くチャンスを逃し続けている人については、記事にすらしない。
リスクを避け続けている人は、何年経ってもリターンを得ることはない。
だがそれは、リスクを取りすぎたのと同じくらいダメージを被る可能性があることなのだ。
――『JUST KEEP BUYING』より

これはインフレによる貨幣価値の変動などを前提にした単純な事実を述べた文章だ。
でも、リスクをとらねばダメージを負うことはないが、リターンも得ることができないのは、投資に限らず、あらゆることにおいてそうだろう。

投資で成功していない人の特徴

世の中には避けられないトラブルがある。自然災害がその最たるものだろうが、市場における歴史的暴落も似たようなものだ。
なんとかして避けようにも、市場全体が低迷してしまったら、手のうちようがない。それは甘受するしかないものだ。できることは分散投資によってリスクを小さくしておくことくらい。

投資はある種の諦念のようなものを人間に教えてくれるのかもしれない。

逆にいえば、投資で成功していない人には妙な執着があり、この諦念を甘受するという意識が欠落しているのかもしれない。

『JUST KEEP BUYING』は全体としてポジティブな語り口が印象に残る書籍だが、どこかうっすらとした寂しさが、著者が自身を語るところには滲んでいる。
著者は成功者ではあるが、たとえばイーロン・マスクやジェフ・ベゾスのような突き抜けた、特異点のような存在ではない。そのことが文章ににじませるそこはかとないウェットさ。

これに関しては第19章・第20章により顕著に現れてくるので、別途記事を立てて触れていこう。