「強い者が生き残り、弱い者が滅びる」――進化論に対してそう思っていないだろうか? 実はそれは大きな誤解である。環境に適応できるか否か、ただそれだけが命運を分ける。ガラパゴス諸島の鳥のくちばし、遺伝子の気まぐれな変異。生存をかけた驚異のメカニズムを『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの生物学』から紐解いていく。(ダイヤモンド編集局)
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ダーウィンの進化論
チャールズ・ダーウィンは、先人たちの理論を土台にして独自の進化論を完成させ、1859年に発表した。
それ以前の科学者は、現生の生物種の研究で自身の理論を裏づけることができなかった。
しかしチャールズ・ダーウィンは、1835年のガラパゴス諸島遠征によって初めて自身の進化論を裏づけた。
ガラパゴス諸島の生物を調査したダーウィンは、さまざまな種類のフィンチ(小型の鳥)に出あった。
その多くはそれぞれ異なる形のくちばしを持っていて、それぞれ異なる種類の食物を見つけるのに役立てていた。
たとえば、昆虫を食べるフィンチのくちばしは細長く、昆虫の棲む木の幹や地面の小さな隙間に差し込めるようになっていた。
別の種類のフィンチは、木の実を噛み砕くための太いくちばしを持っていた。
そこでダーウィンは、環境による必要性の違いが圧力となって、1つの共通祖先からこれらのフィンチが進化したのだと考えた。

「適者生存」はダーウィンの言葉ではなかった?
ダーウィンはこの考え方を発展させて、自然選択説を構築した。
この説によれば、環境に適応している個体は、その形質を数多くの子に伝えることができる。
適応していない個体は、その形質を少数の子にしか伝えられない。
ガラパゴス諸島遠征以前、ダーウィンは化石の研究に基づいて、気候変動や新たな捕食者の侵入がなくても、数多くの生物種が自然に絶滅してきたことに気づいた。
そして、環境に適応できない生物種は絶滅するのだと確信した。
ちなみに、自然選択を説明する際に“適者生存”という表現がよく使われるが、これはチャールズ・ダーウィンの言葉ではない。
社会学者で哲学者のハーバート・スペンサーがダーウィンの著作を読んで発した言葉である。
絶滅するしかない動物の共通点
自然選択説の要点は以下だ。
・同じ種でも個体ごとに形質が少しずつ異なる。
・各個体は生存を懸けて互いに競争している。
・生存に役立つ形質を持った個体は、ほかの個体よりも繁殖に成功して、その形質を数多くの子に伝える。
・やがて、その優れた形質を持った個体群が別の生物種となる。
環境が変化するか、または生存競争が激しくなるかして、ある生物種が環境に適応できなくなると、その生物種は絶滅する場合がある。
カムフラージュが命を繋ぐ
同じ種の中からそれぞれ異なる形質を持った個体が生まれる重要なメカニズムの1つが、遺伝子のランダムな変異である。
変異の中には、いっさい恩恵をもたらさないものもあれば、気づけるほどの変化を引き起こさないものもある。
しかし変異によって有益な身体的変化が起こると、その個体の生存能力は高まる。
変異による有益な身体的形質の一例が、環境中に身を隠すのに役立つカムフラージュである。
カムフラージュに寄与するものとしては、翼・羽毛・葉・毛皮・毛などがある。
カムフラージュできない個体は容易に見つかってしまうため、捕食者から逃れたり獲物を捕まえたりできないかもしれない。
卵子または精子の中で変異が起こると、ときにその変異が親から子に受け継がれる。
変異の結果、カムフラージュに役立つ新たな形質を持って生まれた個体は、ほかの個体よりも生存に適していて、もっと多くの子を残すかもしれない。
そのため、カムフラージュできない個体はカムフラージュできる個体に取って代わられていく。



