私たちの身体は、厳しい寒さや突然の環境変化に直面しても、常に命を維持するための絶妙なバランスを保ち続けています。寒さで手足が冷たくなったり、出産時に強い陣痛が起きたりする現象の裏には、感動するほど上手くできている仕組みが存在します。そんな人体の不思議な調整メカニズム「恒常性」の基本を『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの生物学』をもとにわかりやすく解説します。(ダイヤモンド編集局)
Photo: Adobe Stock
命を支える仕組み
人体のすべての器官系が協調して働くことで、身体の健康が維持されている。
外部環境が変化しても体内のバランスを維持するための活動全般を、恒常性という。
体内のバランスが取れた状態のことを、平衡状態という。
器官系は互いに協調して身体の平衡状態を保つために、シグナル伝達を利用している。
シグナル伝達とは、細胞の外から中に分子のシグナルが伝えられることである。
そのようなシグナルによって一個一個の細胞は、各器官や器官系にふさわしい働きを協調しておこなうことができる。
平衡状態から外れると、シグナルが発せられて問題を修正する。恒常性を維持できないと、器官系が不調を来して死につながりかねない。
刺激を打ち消してバランスを保つ
恒常性は、刺激に対する反応によって維持される。
身体が何らかの刺激を受けると、その刺激の影響を抑えようとする反応を起こす場合がある。そのような反応を負のフィードバックという。
「この刺激の影響を食い止めなければ、恒常性を維持できない」と身体が判断したときに、負のフィードバックが起こる。
たとえば深部体温が下がりすぎると、身体が震える。
それは負のフィードバックの一環で、筋肉が痙攣することで熱が生み出される。
また手足が冷たく感じられるのは、心臓や肺などの重要な器官に血液や熱を振り向けるために、先端部への血流が減らされたためだ。
変化を加速させて目的を達成する
逆に、身体がある刺激を受けたとき、その刺激を続けさせようとする反応が起こることを、正のフィードバックという。
たとえば出産時には、オキシトシンという化学物質が体内に放出される。
オキシトシンは筋肉の収縮を促して、子宮から赤ん坊を押し出す働きをする。
子宮の収縮が強まると、さらに大量のオキシトシンが放出される。
この正のフィードバックは、赤ん坊が産まれて子宮の収縮が止まることでようやく終わるのだ。



