悩まない人の「頭の中」では何が起こっているのか?
いま英語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、カタルーニャ語、オランダ語、イタリア語など世界中から翻訳オファーが殺到している木下勝寿氏の『「悩まない人」の考え方――1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』から、「悩まない人の魔法の一言」をライター柴田賢三氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

Photo: Adobe Stock

「やっぱり俺は神を信じない」

 まだ十代の頃、アルバイトを頑張って貯めた金で、新車のバイクを買ったことがある。
 国産メーカーが出した「限定車」で、他の人が同じ車種に乗っているのを見たことがないような珍しい愛車だった。

 慣らし運転を終え、その足で友人のアパートに立ち寄った。
 彼にひとしきり自慢し、「納車祝い」と称して酒を飲んで泊まることにした。

 友人は神社の息子で、神職になるための大学に通っていた。
 一方、当時の私は宗教や信仰に無頓着で、寺にも神社にもお参りし、クリスマスも祝う、いわゆる“典型的な日本人”だった。

 空いた酒瓶が増え、二人とも泥酔した深夜、「目に見えない神を信じろと言われてもピンとこない」という私と、神職を目指す友人の議論が白熱。丁寧に、いろいろな考え方を示す友人に対して、酔った私は面倒くさくなり、「やっぱり俺は神を信じない」と結論づけてソファで眠りについた。

新車のバイクが傷だらけに

 翌朝、帰宅しようと駐輪場に行くと、新車のバイクが傷だらけにされていた。
 いわゆる“十円パンチ”というやつで、コインや釘などでタンクやカウルの塗装を筋状に削り取る嫌がらせだ。しかも、グルリと一周してボディの両側を傷つけられていた。

「神を信じないなんて言ったから、バチが当たったのか……」

 帰りの道中、ヘルメットの中で泣きながら、そんなことを考えていた。

「北の達人コーポレーション」の社長・木下勝寿氏の著書『悩まない人の考え方――1日1つインストールする一生悩まないスキル30』の中に、似たようなエピソードがあった。

 木下氏が聞いた講演の登壇者が、憧れの車を手に入れて私と同じ被害に遭ったにもかかわらず、こう思ったというのだ。

 それに比べて、ぼくは別に大きなストレスを抱えていない。人が傷つけたくなるくらいいいクルマも持っている。
 クルマを傷つけられる側の人生でよかった。ラッキー!

――『悩まない人の考え方』より

とりあえず『ラッキー!』と言ってみる

 登壇者は、傷つけた相手は犯罪者になるかもしれないリスクを冒しているのだから、よほど嫌なことがあって正常な判断力を欠いていたのだろうと推察。そんなかわいそうな犯人に比べて、自分は「ラッキーだ」と考えたそうだ。

 この人物は、何か予想外の出来事が起こったら、「とりあえず『ラッキー!』と言うようにしている」と木下氏に説明。同氏も、「悩まない人」の考え方の参考になると解説している。

 私の場合も、当時はかなり落ち込んだが、今も仲のいい神職の友人と飲むときの鉄板の昔話になっている。彼との忘れられないエピソードとなっているのだから、やっぱりラッキーだ。