私たちを含むあらゆる生物の基本構造である「細胞」。その命の源となる最初の有機化合物は、一体どのようにして誕生したのか。初期地球の大気と雷を再現し、生命の欠片であるアミノ酸を作り出した衝撃の「ミラー=ユーリ実験」から、脂質膜に物質が閉じ込められた「原始細胞説」、さらには遺伝情報を担う「RNAワールド説」まで。未だ議論が続く「生命の起源」に迫る代表的な仮説と、その化学的プロセスを『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの生物学』から分かりやすく解説する。(ダイヤモンド編集局)
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生命の起源
生命がどのように誕生したかについては、いまだに議論が続いている。
しかしすべての科学者が、その鍵を握っているのは、あらゆる生物の持つ構造体である細胞だと考えている。
細胞はおもに有機化合物で構成されているため、生命の起源に関するほとんどの仮説は有機化合物を前提としている。
「ミラー=ユーリ実験」が明かした驚きの事実
もっともよく知られた仮説によれば、初期地球の大気に含まれていた何種類かの気体と、熱や稲妻のエネルギーから、最初の有機分子が形成されたのだという。
1952年にスタンリー・ミラーとハロルド・ユーリが、水蒸気・メタン・アンモニア・水素を用いて初期地球の大気を再現し、初期地球の海の代わりに水を溜め、加熱しながら放電をおこなった。
しばらくエネルギー(熱と放電)を加えたのちに、気体を冷却して液体に凝縮させ、分析した。
すると、その水の中に基本的なアミノ酸が何種類も含まれていて、そのうちの何種類かは現在の生命に欠かせないものであることが明らかとなった。
最初の生命は、初期地球の大気の化学反応によって自然に誕生したという仮説が、この実験によって裏づけられた。
原始細胞説とは
ミラー=ユーリ実験で起こったように、たとえ有機分子が一か所に凝集したとしても、さらにそれが組織化されて原核細胞の形にまとまらない限り、生命は誕生しなかったはずだ。
この点に目を向けたのが、原始細胞説である。
原始細胞は、脂質膜の内側にさまざまな有機化合物が閉じ込められたものである。
たとえば、油膜でてきた泡の中に、水・有機化合物・ナトリウムイオン・カリウムイオンなどの物質が入ったものが考えられる。
確かにこの説は理にかなっているが、最初に原始細胞がどのように作られ、それがどのようにして原核細胞へ進化したのかについては、いまだにまったく分かっていない。
RNAワールド
もう1つの説が、遺伝情報を保存するDNAやRNAなどの有機分子が作られたことによって、生命が誕生したというものである。
1本鎖であるRNAは2本鎖であるDNAよりも単純だとみなせるし、しかも遺伝情報を保存できることから、一部の科学者は、生命はRNAによって誕生したという仮説を立てている。
しかしミラー=ユーリ実験の場合と違って、この仮説を実際に検証するのは難しい。



