「あの人は計画性がない」。仕事がいつもギリギリになったり、途中で予定が崩れたりする人を見ると、そう言いたくなることがあります。その人達の頭の中では、何が起きているのでしょうか。書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』から考えてみましょう。

「計画性がない人」のNG行動・ワースト1Photo: Adobe Stock

「計画性がない人」は、そもそも計画を立てていない

「計画性」という言葉を使うと、何か特別な能力のように聞こえます。しかし実際には、「計画を立てているか」「立てていないか」の違いでしかありません。

例えば資料作成を頼まれたとき、「明日の午前中に2時間空いているから、そこでやろう」と決める。本人は予定を立てたつもりかもしれません。しかし、これは「2時間を確保した」だけです。その2時間で何をするのか、どんな順番で進めるのか、それぞれにどれくらい時間がかかるのかを考えていなければ、本当に2時間で終わるかはわかりません。

「いつやるか」を決めることと、「どうやったら終わるか」を考えることは別なのです。

フルマラソンに「2時間空けておけば終わる」は無謀

これをフルマラソンで考えると、わかりやすいでしょう。42.195キロのフルマラソンに出ることになった人が、「当日は2時間空けておけば大丈夫でしょう」と言っていたら、どう思うでしょうか。世界トップレベルの選手ならともかく、普通の人が何の根拠もなくそう考えているなら、明らかに知識不足で無謀です。

では「念のため8時間空けておけば絶対にゴールできる」と考えればいいのでしょうか。これも同じように無謀です。そもそも42.195キロを走れるだけのトレーニングをしているのか。途中でどんなペースで走るのか。水分や栄養はどう補給するのか。休憩は必要なのか。そうしたことを何も考えず、「8時間あれば何とかなる」と言っても、それは計画ではありません。確保する時間を2時間から8時間に増やしただけです。

仕事でも「長く時間を取る」だけでは終わらない

仕事でも同じことが起きています。「2時間あれば終わるだろう」と考えて終わらなかった。すると次は、「じゃあ半日空けよう」「一日使えばさすがに終わるだろう」と時間を増やします。しかし、本当に必要なのは、時間を長く取ることではありません。

例えばメールを一本打つだけでも、「まず相手に何を伝えるのかを決める。そのために必要な情報を確認する。メールを書く。添付する資料を用意する。宛先や内容を確認して送る」と、一度最後まで仕事を進めてみます。

すると、「あの数字を確認しないと書けない」「添付資料を先に直す必要がある」といったことが見えてきます。たった一本のメールでも、実際にはその前後にいくつもの作業が隠れているのです。

手を動かす前に「考える」人になろう

書籍では、仕事を始める前に、頭の中でステップ・バイ・ステップに仕事を進めることを「脳内リハーサル」と呼んでいます。

「『脳内リハーサル』では、いきなり俯瞰的に仕事を見る必要はありません。むしろ、重要なのは頭の中でステップ・バイ・ステップで前から順番に作業を進めていくことです。」

大切なのは、完璧な計画を作ることではありません。仕事を始める前に、一度考えておくことです。

フルマラソンなら、スタートしてから「42.195キロって、どうやって走ればいいんだ?」と考えるのではなく、走る前にペースやトレーニング、補給について考えておく。仕事なら、手を動かし始めてから「次は何をすればいいんだ?」と考えるのではなく、頭の中で一度最後まで進めておく。

「計画性がある人」とは、特別に先を読む能力が高い人ではありません。仕事を始める前に、ちゃんと一度考えている人なのです。