胸部検診車(写真はイメージです。木村先生が実際に検査を受けた施設とは異なります) Photo:PIXTA
国立がん研究センターの推計によると、日本人の2人に1人は、一生のうちに何らかのがんになるリスクがあります。しかし、定期的にがん検診を受けている日本人は必ずしも多くありません。この差はなぜ生まれるのでしょうか?実際に二度のがんを経験し、現在は医師の仕事をしながら療養中の耳鼻咽喉科医・木村至信先生(医学博士・産業医)が、ご自身の経験を踏まえながら要因を分析します。(編集者 高橋満)
※本記事は前後編の前編です。後編は以下からお読みいただけます。
>>「この人、がんかも?」2度のがんを経験した医師が疑う「患者の何気ない言葉」
耳鼻咽喉科医・木村至信先生が
2度目のがんに……
「検査で胃がんが見つかった」。今年の夏、筆者のかかりつけの耳鼻咽喉科医、木村至信先生から、こんな報告を受けました。
「6年ほど前にも子宮頸がんが見つかり、現在は経過観察中です。本当なら医師会の健康診査を受けるべきだったのですが、ちょうど開院時期と重なり、忙しさを言い訳にして、がん検診や定期検査を受けずにいました」
「私はもともと逆流性食道炎もあって、胃酸の薬を飲み続けていたんです。 たまに胃がグーっと痛いこともあったけれど、(がんだとは思わず)“はいはい”と処方薬を飲んで済ませていました(※注1)。そんな中、特定健康診査の期限が近づき、ずっと放置したままではまずいかなと思って6年ぶりに検査を受けました。その結果『がんですよ』と言われてしまって……」
※注1:胃がんは初期段階では自覚症状があまりなく、進行しても胃炎や胃潰瘍に似た症状しか現れないケースが多くあります。
そうした経緯で二度目のがんが発覚した木村先生は、「なんできちんと(定期的に)検査を受けなかったのか」と後悔しているといいます。
木村至信(きむら・しのぶ)医学博士・耳鼻咽喉科医・産業医。

信州大学医学部卒業、横浜市大医学部大学院にて医学博士を取得。現在は、横浜市にあるクリニック、馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長として地域密着の診療に励んでいる。1万人の難聴・耳鳴りの患者を救ってきた名医として定評がある。
木村至信BANDのヴォーカルとしてもメジャーデビュー、シンガーソングライターとしても活動中。著書に『1万人の耳の悩みを解決した医師が教える 耳鳴りと難聴のリセット法』『1万人の鼻の悩みを解決した医師が教える鼻炎のリセット法』がある。
幸い、木村先生の胃がんはごく初期段階だったので、口から入れた内視鏡を使って、胃の早期がんを切除する治療で対応。この治療法は開腹手術に比べて身体への負担が少ないのがメリットですが、術後は出血のリスクを低減するため、厳しい食事制限が課せられました。
揚げ物、油っぽい物、炭酸、コーヒー、アルコール――。好物を自由に食べたり飲んだりできない辛さはありながらも、木村先生は退院後、すぐに外来診療や、音楽活動のレコーディングなどに復帰(木村先生はプロのアーティストとしてバンド活動も行っています)。「まだまだこの体で働かなきゃいけないのだから」と、自分の体に向き合いながら診療・音楽を続ける覚悟が決まったそうです。
そして、日常生活に戻った木村先生の中には、自分のように後悔する人を減らしたいという思いが湧き上がってきました。







