写真:ニット帽Photo:PIXTA

食道癌にかかった筆者は、抗癌剤の投与による大量の脱毛を経験した。そして、病気の治療法や予後のことは当然だが、髪の毛のことも大いに気になった。筆者が調べたり、考えたりした「癌治療と髪の毛」の問題についてお伝えしたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

癌になって大量に脱毛
「下級の落ち武者」のような髪に

 本連載でも何度か触れたが、昨年、筆者は食道癌にかかった。筆者の場合の治療経緯とがん保険に関しては、『癌になって思う「がん保険は、やっぱり不要だ」』という記事で既に詳しく書いたが、今回は髪の毛の話を書いてみたい。

 髪の毛は、筆者のような男性にとっても「意外に」を超えて「大いに」気になる対象だ。この点の当否は後で論じる。一方、文化習俗的な背景を考えると、髪の毛に対する思い入れは女性と男性では大きく異なるかもしれない。

 男女を分けて文章を書くのは、ポリティカルに正しくないかもしれないのだが、「女性の気持ちまでは、私には分かりません」と正直に前置きする意味でタイトルに「男性にとっての」と付けたことをお断りしておく。

 さて、抗癌剤の投与で髪の毛が抜ける話をご存じの読者は少なくないのではないか。ドラマのシーンなどでも、癌にかかった登場人物の髪の毛が抜ける設定は少なくない。

 筆者の場合は、いわゆるツルツルになるほど毛が抜けたわけではないが、それでも大量に脱毛して、そのままでは人前に出たくないような状態になった。あえて似たものを探すと「下級の落ち武者」だろうか。時代劇だと、合戦シーンの後に登場して映るのは2秒くらいで台詞(せりふ)はない。