「会社都合」だったのになぜ?
離職票には“嫌がらせ”がびっしり

 退職勧奨は、会社都合の退職にあたる。A子さんは、会社が契約している再就職支援エージェントの紹介と有給休暇を4ヵ月ほど延期して退職することを条件に、「いままでの経緯は、未来永劫しゃべるな」という同意書を取られた。

 ところが、離職票をハローワークに持っていくと、職員にびっくりされた。

 離職票の「その他」に丸が付けられていて、特記事項には「A子さんが報告事項を怠ったため、会社は環境改善に務めましたが、双方の溝は埋まらず、やむなく退職勧奨を行いました」など嫌がらせと取れる文言がびっしり。それも、枠内には収まり切らず、枠外にまではみ出して記されていた。

 実際には、彼女は日報をきちんとつけていたので、事実とも違っていることは明らかだった。

「大手企業で、こんなことをする人、初めて見た」

 ハローワークの若い職員2人は、思わず声を上げて目を丸くした。

「単なる嫌がらせですね。あなたはまったく気にする必要はないし、この内容が私たち以外に漏れることは絶対にありませんから。これは、ただファイルに綴るだけです」

 彼女をホテルに連れ込めなかったからなのだろう。人事部長は、“ストーカー”から“嫌がらせをする人”になって終わった。

「もしかしたら、セクハラはパワハラの序章でしかなかったのかもしれませんね。また、今回感じたのは労働組合も組織が大きいだけで、特に切れ者がいない限り、何の役にも立たない存在だとわかりました」(A子さん)

 周囲からは、訴訟を起こすように勧められた。ただ、地方で名前を出して闘うには、どこで誰につながっているかわからない怖さがあった。色眼鏡で見られるのも嫌だった。