「昔はもっと、部下の気持ちがわかっていたはずなのに」。上司として働くうちに、いつの間にか部下の考えていることが驚くほどわからなくなってしまう人がいる。本人は部下のことを考えているつもりでも、「どうしてこんなこともわからないんだ」と思ったり、部下の不満を理解できなかったりする。その背景には、上司という立場に長くいるからこそ陥りやすい落とし穴がある。では、驚くほど「部下の気持ち」がわからない上司には、どんな共通点があるのだろうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その理由を解説する。
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「こんな上司にはならない」と思っていたはずが
部下の気持ちがわからない上司というと、最初から部下のことを考えない人を想像しがちです。
でも実際には、自分が部下だった頃に「こんな上司にはなりたくない」と強く思っていた人が、気づけば同じことを部下にしてしまっているケースがあります。
部下として働くのは、我慢の連続でもあります。
納得できない指示でも従う、上司の機嫌を見ながら話しかける、言いたいことがあっても立場を考えて飲み込む
――そういった経験をしながら「自分が上司になったら、部下の気持ちがわかる上司になろう」と思う人は少なくありません。
ところが、昇進し、上司として過ごす時間が長くなるにつれて、部下だった頃の感覚が少しずつ薄れていくことがあります。
なぜ、感覚が薄れていくのか
理由は、上司として働く時間が長くなるほど、「上司の立場」で物事を考えることが当たり前になっていくからです。
部下の頃は、「急に仕事を増やされたら困る」「もう少し説明してほしい」と感じていた。
それが上司になると、「今日中にこれを終わらせたい」「ここまで説明すればわかるだろう」と、少しずつ見る側が変わっていきます。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
上司になれば、チーム全体を見て判断しなければならないことも増えます。
でも、その状態が何年も続けば、かつて自分が部下として何に困り、何を我慢していたのかは、少しずつ思い出しにくくなっていきます。
部下だった頃の気持ちを忘れたというより、上司の立場に慣れすぎてしまった。
そんな人も多いのではないでしょうか。
「部下だった頃の視点」を手放さない
上司になって身につけた視点は大切です。
でも、部下だった頃に感じた「しんどかったこと」「言えずに我慢したこと」も、部下を理解するための大切な経験です。
ときどき、「自分が部下だった頃、同じことをされたらどう感じていただろう」と思い出してみてください。部下だった頃の視点を忘れないことも、上司には大切なのです。








