魅力の本質を突く圧倒的な「言語化力」
では、小林はどのようにしてモネの魅力を伝えたのでしょうか? 彼は自著『近代絵画』の中で、モネの作品の本質を鮮やかに言語化しています。
光を追い求めて行ったモネは、しまいには、何んの奇もない平凡な画題、例えば、畠の中に積み上げられた一束の藁があれば充分だ、という事になった。【『近代絵画』(新潮文庫)】
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
ただ「美しい」「素晴らしい」と褒めるのではなく、モネが「光」を追い求めた結果、平凡なモチーフの奥深さに辿り着いたという核心を突いています。
ビジネスのプレゼンや営業においても、商品の表面的なスペックを語るのではなく、「なぜそれが優れているのか」「どのような哲学で作られたのか」という本質を言語化することが、相手の心を強く惹きつけるのです。
対象を深く観察し、価値を再定義する
太陽の光さえ浴びていれば、それは、限りなく多彩な魅惑で輝やき、これを追って行けば、光の推移につれて、作画の動機として、いくらでも異ったものが現れて来る。(中略)晩年は、自分の家の池に咲いた水連ばかり描く様になった。【『近代絵画』(新潮文庫)】
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
同じ藁の山や睡蓮でも、光の当たり方で無限の表情を見せる。小林はモネの視点を追体験するかのように、その魅力を魅力的に描写しました。
私たちが仕事で新しい企画や価値を提案する際にも、対象を深く観察し、自分なりの視点で魅力を再定義する力が求められます。小林秀雄の文章に触れることは、物事の深い見方と、それを人に伝える極上の「言語化力」を磨く最高のトレーニングになるはずです。




