習氏訪米めぐる舞台裏の駆け引きPhoto:Win McNamee/gettyimages

 中国の習近平国家主席は、今回の米国訪問で外交上の儀礼として最高位の「国賓待遇」を受けたいと望んでいた。国賓としての訪米となれば、儀仗兵の配備、21発の礼砲、そしてホワイトハウス南庭での正式な歓迎式典が伴う。

 23日に米国に到着した習氏は望みをかなえることになるが、合意に至るまでには数週間の作業を要した。

 準備に関わった関係者によると、両国は訪問の位置づけをめぐって対立したが、米政府が中国政府の要求を受け入れたという。習氏が国賓待遇で訪米するのは10年以上ぶりとなる。習氏の訪米の位置づけをめぐるこの静かな闘いは、今週ワシントンで発表される可能性のある内容以上に、この首脳会談が本当は何を意味するのかを物語っている。

 ドナルド・トランプ米大統領は、5月に北京で習氏から受けたのと同様のレッドカーペットでの待遇を提供した。ホワイトハウスの高官の一人によれば、大統領は何よりも習氏に感銘を与え、11月の中間選挙を前に両国関係を安定させたいと考えている。

 中国政府の政策顧問らによると、習氏は自身への歓迎が――2日間の訪問期間や公式晩さん会に至るまで――北京でトランプ氏に与えたものと同等になるよう主張することで、自身の権力基盤は依然として強固でありつつも周囲からの圧力が高まる中、世界最強国の大統領から対等な相手として迎えられる中国指導者という印象を打ち出したいと考えているという。

 米中当局者によると、両首脳のどちらも譲歩する気がないのは、両国関係を象徴する根本的な対立軸、すなわち先端技術、特に人工知能(AI)で優位に立とうとする覇権争いと、地政学的影響力の拡大競争においてだ。

 両国がこれほどまでに演出面に注力していること自体が、従来とは異なる。数十年にわたり、米国の当局者は具体的な成果を最も重視してきたのに対し、中国の指導者は儀礼や体面、敬意を重んじてきた。今回は習氏とトランプ氏の双方が会談の見栄えを重視しており、互いにほとんど譲歩しない両政府にしては異例の一致を見せている。