2026年8月31日、キルギス大統領と会談する中国の習近平国家主席 Photo:EPA=JIJI
冷え込む日中関係に、変化の兆しが見え始めている。中国は高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言に強く反発し、「撤回」を求めてきた。ところが、その強硬姿勢に異変が起きている。中国側の公式文言から、その「撤回」が消えたのである。強気だった習近平国家主席に何があったのか。2014年の日中外交と比較からわかることとは?中国のシグナルを丁寧に読み解く。(中国政治研究者 王 彦麟)
中国の公式文言の
「見過ごせない変化」
11月18~19日、中国・深センでAPEC首脳会議が開かれる予定だ。
高市早苗首相は習近平国家主席との首脳会談に意欲を示している。8月末には日本の国会議員団も北京を訪れたが、中国側は厳しい姿勢を崩さず、日本では日中関係改善の糸口は依然として見えない、との受け止めが強い。
「中国にそこまで譲歩して、首脳会談を実現する必要があるのか」と感じる人もいるだろう。
ところが、中国側が8月末に公式に残した言葉を、数カ月前の発言と比較すると、見過ごせない変化がある。習近平政権は、日本との関係を動かすために何を必要としているのか。その中身は変わり始めているのだろうか。
2026年の日中関係を見るうえで重要なのは、11月に二人が握手するかどうかだけではない。その前の9月から10月にかけて、習近平政権が関係改善の条件をどう描き、高市政権がそれにどこまで応じられるのかを見る必要がある。
安倍晋三は
習近平会談をどう実現したか
2014年11月10日、北京。
安倍晋三首相は習近平国家主席と首脳会談を行った。
その2年前の尖閣諸島国有化以降、中国公船の周辺活動が常態化し、2013年末には安倍首相が靖国神社を参拝していた。北京でAPECが開かれても、習主席が安倍首相との正式な会談に応じるかどうか自体が政治問題になっていた。
だが、本当に重要な出来事は11月10日ではない。
その3日前、11月7日に両政府が発表した、日中関係改善に向けた四項目の合意である。
最大の難問の一つが尖閣諸島だった。中国側は、日本に尖閣をめぐる「領土問題」の存在を認めさせたい。一方、日本政府は「解決すべき領有権の問題は存在しない」という立場を維持していた。







