朝から晩まで分刻みで動き回り、「忙しくて時間がない」と口にするビジネスパーソン。一見すると優秀に見えますが、実際の成果は低いケースが多くあります。その原因は、彼らが「決着をつける(意思決定をする)」ことから逃げ、案件を保留にし定滞させていることにあります。決断と機会損失の構造を理解していなければ、忙しさの沼から抜け出せません。この記事では、書籍『リーダーの仮面』のエッセンスをもとに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「いつも忙しそうな人」が実は仕事ができない理由とは?Photo: Adobe Stock

「検討します」を溜め込む無能さ

 いつも忙しそうにデスクで頭を抱えている人が、頻繁に口にする言葉があります。

「この件については、もう少し慎重に検討します」
「リスクがあるから、一旦保留にして持ち帰らせてください」

 決断を下すことを先延ばしにし、「検討」という言葉で時間を稼ぐ行為です。

 本人は「じっくり慎重に考えて仕事をしている」つもりかもしれません。

 しかし、これは意思決定の痛みから逃げているだけの、極めて仕事ができない人の典型です。

 保留された案件が頭の中に居座り続けることで、自分の脳のキャパシティと時間を無駄に消費しているのです。

「検討します」と言って決定を先延ばしにする人は、何も仕事をしていないのと同じです。
選択肢を捨てて「決着をつける」ことの痛みから逃げているだけであり、その保留が莫大な「機会損失」を生み出しています。
本当はノーなのに「検討します」と答えるのは、全裸より恥ずかしい行為だと知るべきです。
――『パーフェクトな意思決定』より

「決めない」というコスト

 意思決定とは、「選択肢を1つに絞り、残りの選択肢を捨てる(決着をつける)」作業です。

 決めない状態でいることは、一見するとリスクを回避してゼロの状態でいるように見えます。

 しかし、現実は違います。

 保留している間にも、現場の動きは止まり、部下は待ち状態になり、ライバル他社に先を越されていきます。

「決めないこと」はゼロではなく、確実なマイナス(莫大な機会損失)を生み出しているのです。

 保留を連発して自ら仕事を停滞させておきながら、「忙しい」と嘆くのは本末転倒です。

即決のサイクルを回そう

 本当に仕事ができる人は、身軽で時間に余裕を持っています。

 やるべきでない提案や無理な案件には、その場で速やかに「ノー(やりません)」と決着をつけます。

 本当は断るつもりなのに「検討します」と期待を持たせるのは、相手の時間も奪う最悪なマナー違反です。

 YESかNOかをその場で即断し、案件を頭の中から消し去ります。

 リーダーの仮面をかぶり、決断に伴う責められる恐怖を乗り越えること。

 素早く決着をつけて前に進む人だけが、圧倒的な成果と自由な時間を手に入れることができるのです。