「寝ても休んでも疲れが取れない」「なんだかしんどい」「なかなか寝つけない」……。最近、メンタルの不調を訴える人が増えています。ADHD(注意欠如・多動症)で、うつサバイバーのバク@精神科医さんの最新刊『その考え、捨てちゃえば あなたの「思考のくせ」を変える40のヒント』(ダイヤモンド社)は、そうしたメンタル不調から抜け出すための「苦手な人との距離の取り方」や「気持ちをリセットするための方法」などを紹介する一冊。本連載では同書から抜粋・編集して、もっと楽に生きられるようになるためのヒント&解決策をお届けします。

【精神科医のアドバイス】これだけは絶対やめたほうがいい、NGな断り方ワースト3Photo: Adobe Stock

NGな断り方~これはやってはいけない

 前回で「はっきり断るほうが優しい」と書きました。

 しかし「はっきり断ろうとしたつもりが、なんか相手をモヤッとさせてしまった」という経験のある人も多いんじゃないでしょうか。

 実は断り方には、人間関係を地味に破壊する地雷原が3つほど存在します。

 今回は、私が「これだけは絶対やめておいたほうがいい」と思う、断り方ワースト3を解説します。

NG①「行けたら行く」

 これは最悪の選択肢です。

 最悪の選択肢ですが、なぜか日本人がよく使うフレーズでもあります。

「行けたら行くね~」

 このフレーズの最大の問題点は、相手にこちらの参加があるかもしれないという想定を抱かせたまま放置してしまう点です。

 例えば、飲み会の幹事だったら、人数調整、予算調整、お店の予約。細々とやることが多いです。そんな中で「行けたら行く」でホールドしている人が3人いると、店の予約は「行く(かもしれない、を含む)」人数で取らざるを得ません。

 なぜなら「もし来た時に席がない」が一番気まずいし、店の混み具合によっては、追加の座席の確保ができないかもしれないからです。そうした配慮をできる人が幹事役だった場合、物凄いストレスを相手にかけることになります。

 つまり「行けたら行く」とは、「私が来ても来なくても、来る前提で全部の手配をしておいてください」と相手に押し付けている、とても迷惑な行為になるのです。あなたは相手に気を悪くしてほしくないから、気をつかって「行けたら行く」と言ってきたかもしれません。

 しかし、これは相手のメモリ(予定や時間、予約などの手配)を無駄に食い潰す最悪な行為です。もしもやったことがあるなら、今後は絶対にやめましょう。

NG②「体調が悪くて……」(嘘)

 なぜか仮病を断る理由にする人がいますが、これもメリットが一切ありません。まず、優しい人ほど「大丈夫?」と本気で心配してしまいます。

 その人の心配というメモリを、何の意味もなく消費させているわけです。そして、もしバレた場合のダメージが致命的です。

「え、この人、平気で嘘をつくんだ……」

 この信頼の損失は、回復させるのが本当に難しい状態になります。

 特に本気で心配してくれる人―絶対に仲良くしておくべき人―からの失望は、何物にも代えがたい損失です。

「嘘をつくからには徹底的にやろう!」と整合性を取るために、しばらく病人のフリをし続ける? そんなことにリソースを割くこと自体馬鹿馬鹿しいですよね。サクッと断れば発生しなかったコストを、自分で増やしているだけです。

 嘘は整合性を取るためのコストが、想像以上にかかりますからやめたほうが絶対楽です。

NG③「長文の言い訳」

 LINEでお誘いが来たとしましょう。当然、お断りもLINEですることになります。そこで、「本当は行きたいんですけど、◯◯が××で、その関係で△△が□□になっていて……」という長文LINEを送るのは、NGです。

 行きたいのか? 行きたくないのか?
 事情があるから今回だけ無理なのか?
 事情が解決したら来るのか?

 相手は、長文を最初から最後まで読まないと判断できなくなります。

 軍人式で「結論から申し上げます。不参加です! 以下、理由です! ~長文~」という配列ならまだマシですが、それでも結局、相手が長文を読まざるを得ないことには変わりはありません。

「重い……」

 ほぼ確実にそう思われます。長文は誠意ではありません。むしろ相手のリソースを浪費する迷惑な所業です。サクッと短文で結論先、これが鉄則です。

正解は
「結論先・短文・相手に察してもらう」

 では、NG3つを避けつつ、どう断ればいいのか?

 正解は、以下の3つの原則を守ることです。

①結論を先に言う
「すみません、その日は行けません」

 これが最初に来ます。理由はその後、あるいはなくてもいいです。

②短文で済ます
「先約があって」「ちょっと立て込んでるので」「予定が合わなくて」

 このどれかで十分で、詳細は説明しなくていいのです。

 詳細を求めてくる相手は、有休申請の時に細かく理由を聞いてくる上司と同じですから、特別な理由がなければ、距離を置いていいです。

③相手に察してもらうようにする
 これも重要なポイントです。

「先約があって」と一回断ったあと、相手が「じゃあ別の日は?」と粘ってきた場合、「すみません、ここしばらく忙しくて」と理由をぼかして締めましょう。

 ここで「先約が多くて」「実は祖母の体調が」と毎回違う理由を出すと、相手はだんだん「この人は本当に予定が合わないだけ」とは思えなくなってきます。

「ああ、避けられてるな」と察してもらうことが、一瞬は関係性を悪化させたように見えつつも、結局は長期的には一番平和な着地点です。

「断り上手」とは、つまり「省エネで断れる人」のことです。相手のメモリ消費を最小限に抑え、自分のバッテリーも消耗させず、関係を綺麗に維持できる。

 これが大人の嗜(たしな)みです。

バク@精神科医
元内科の精神科専門医
中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーへの道を志し文系に進学。しかし「カウンセラーで食べていけるのはごく一部」という現実を知り一念発起し医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら勉学とバイトに勤しみ大学を卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を希望したが医師研修中に父親が亡くなった喪失体験も重なり休職に至る。この時医師になることを諦めかけるが先輩の精神科主治医と出会うことで精神科医として「第二の医師人生」をスタート。精神科単科病院にて様々な分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者を対象とする開業医として診察にあたる。「よりわかりやすい、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。うつ病を経験し、ADHD(注意欠如・多動症)をもつ医師としてX(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Xフォロワー9.2万人。著書に『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす 生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)、『依存メンタルを力に変えるレッスン』(大和書房)がある。