ノーベル賞の登竜門・ラスカー賞受賞で話題! 睡眠学の世界的権威・柳沢正史教授が、最新研究をもとにやさしく解説した著書『世界最高の睡眠学が教える 睡眠の正解』が話題です。巷にあふれる睡眠の常識・思い込みの真偽を解き明かしつつ、「眠れない」「起きられない」「寝ても疲れがとれない」といった悩みの解消法を提唱します。あなたが本来の自分を取り戻し、よりよい明日を迎える睡眠のヒントをお届けします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・中村直子)
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「夜10時から深夜2時までは、睡眠のゴールデンタイム」
テレビやネットの美容情報などで、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この時間に眠らないと、成長ホルモンが出ない、肌が荒れる、健康にも悪い……。そう信じている人は、いまでも少なくありません。
しかし、これはかなり雑な話です。睡眠にとって大事なのは、“22時から2時”という、時計の時刻そのものではありません。大事なのは、眠りについてから最初の数時間に、深いノンレム睡眠がきちんと現れることです。
いつの間にか話がすり替わってしまった
ではなぜ、22時から2時という話が広まったのでしょうか。おそらく背景にあるのは、成長ホルモンの存在です。
成長ホルモンは、子どもの身長を伸ばすことが知られていますが、そのためだけのホルモンではありません。大人にとっても、体の修復や代謝に関わる大切なホルモンです。
そしてこの成長ホルモンは、眠りの前半に現れやすい、もっとも深いノンレム睡眠と関係が深いことが知られています。
この「睡眠の前半に深い眠りが出やすい」という話が、いつの間にか「22時から2時に寝ないといけない」という話にすり替わってしまったのではないか。私はそうにらんでいます。
というのも昔の日本人は、いまよりも就寝時刻が早かった。夜10時ごろに布団に入る人も、いまよりずっと多かったはずです。すると、その人たちにとっての睡眠の前半は、だいたい夜10時から深夜2時あたりです。
正しくは、成長ホルモンが分泌される条件は、眠りについてからの最初の数時間に深く眠ることです。くり返しますが、“時計の時刻”ではありません。
極端な話、たとえ朝の7時に眠りについたとしても、それがその人にとっていちばん自然で深い睡眠が得られるリズムなら、成長ホルモンは朝の7時からしっかり分泌されます。
削っていい睡眠は、1秒もない
このゴールデンタイムという言葉には、もう1つ見過ごせない大きな害があります。
それは、「最初の数時間がゴールデンタイムなら、そこだけしっかり寝ればあとは短くてもいいんじゃないか」という致命的な勘違いを生むことです。
本当の睡眠のゴールデンタイムはいつなのか。私の答えは、こうです。
「睡眠のゴールデンタイムは、ひと晩全部です」
睡眠のなかに、削っていい時間など1秒もありません。睡眠の価値は、前半だけで決まるものでもありません。
あなたが本当に必要としている睡眠時間の、そのすべてがゴールデンタイム。自分の体に合った時間に眠り、必要な睡眠を最後まで取りきるようにしてください。








