「たっぷり寝たはずなのに、朝から体がだるい」――その原因は、睡眠の“長さ”ではなく“質”にあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と実践法を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が発売された。本書には、脳を本当に休ませるための「眠り方」も書かれている。今回は、本書の著者でありアメリカ在住の精神科医、久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)
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睡眠は脳のデトックス時間
――「休日に一日中寝ていたのに、月曜日の朝から体がだるい」「毎日7時間寝ているのに、日中ずっと眠い」。こんなふうに、睡眠をとっても疲れが取れないのはなぜなのでしょうか。
久賀谷亮氏(以下、久賀谷):大前提として、脳を休めるために「睡眠」は不可欠です。
私たちが眠っている間、脳内には脳脊髄液という洗浄液が流れ込みます。この洗浄液が、日中の活動で溜まった「アミロイドβタンパク質」などの脳の疲労物質を洗い流してくれるのです。つまり、睡眠とは「脳のデトックス時間」なのです。
――では、長く眠れば眠るほど、脳はきれいに洗浄されるということですか?
久賀谷:そう単純ではありません。問題は「睡眠の質」です。
ベッドに入っても、「明日のプレゼン、失敗したらどうしよう」「今日、上司に言われたあの一言が気になる」と、いろいろな考えが頭を巡って寝つけないことがありますよね。あるいは、夜中にふと目が覚めてしまって、そこから不安で眠れなくなる。
これは、脳のエネルギーを浪費する回路である「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」が、夜になっても過剰に発動し、暴走している状態です。
このDMNの活動を鎮めない限り、いくら長時間ベッドに横になっていても、脳は深く休息することができません。
呼吸に意識を向けて脳を落ち着かせる
――なるほど、身体は横になっていても、脳はアイドリング状態でエネルギーを消費し続けているのですね。では、どうすれば脳を落ち着かせることができるのでしょうか。
久賀谷:そこで「マインドフルネス」の出番です。
夜、いろいろな考えが頭を巡って眠れないときには、過去や未来に向かっている意識を、自分の「呼吸」へと引き戻してください。
仰向けに横たわったまま、鼻を通る空気の冷たさや、呼吸に伴ってお腹が上下する感覚に、ただひたすらに注意を向けます。息を吸いながら「1」、吐きながら「2」と心の中でラベリングするのも効果的です。
――呼吸に意識を向けることで、不安な考えから脳を切り離すのですね。
久賀谷:ええ。
呼吸は、さまよう心を「いまここ」に引き止める錨(いかり)の役割を果たしてくれます。
呼吸に集中することでDMNの活動が低下し、副交感神経が優位になって、自然と深い眠りに入りやすくなります。ぜひ、質の高い睡眠とマインドフルネスを掛け合わせて、本当に疲れが取れる「最高の休息」を手に入れてください。



