昼食後、頭がぼんやりして仕事が手につかない。その原因を「血糖値が上がったせいだ」と決めつけてはいないだろうか。実は、食事内容や血糖値の変動と眠気との因果関係を明確に裏付けるエビデンスは乏しいという。米国内科専門医・米国肥満医学専門医の有好信博氏によれば、食後の眠気は単独の原因で説明できるほど単純な現象ではない。本記事では、食後の眠気の本当の理由と、その対策について紹介する。(構成/小川晶子)

「そりゃ眠くなるわ…」午後に仕事がはかどらない人の“残念な思い込み”Photo: Adobe Stock

昼食に気を付けているのに眠い

 昼食後、眠くて仕方がない。

 仕事のパフォーマンスは、午前中の早い時間を100とすると、昼食後は5くらいである。レベル5の状態でパソコンにかじりついていても疲れるだけでほぼ意味がないので、この眠い時間をどうするのかが常に悩みだ。

 私がこれまでやってきた対策は次のようなものである。

・血糖値をコントロールするため、食べ方を工夫する。(炭水化物を減らす、血糖値上昇をおさえるとされる桑の葉茶を飲むなど)
・仕事の打ち合わせ、外出はできるだけ午後にする。
・あきらめて昼寝する。

 眠気の原因は血糖値に違いないと思い込んでいたため、食べ方の工夫の研究には余念がなかった。しかし、いっこうに眠気がおさまらない。

 あきらめて昼寝をすると、その後かえってだるくなってしまう日も多く、困ったものだと思っていた。

その眠さは本当に血糖値が原因か?

 医学的なエビデンスに基づき、パフォーマンスを最大化する方法を紹介している本『体力がすべて』の中には、食後の眠さについて意外なことを教えてくれている箇所がある。

 食後に眠気を感じると、一般には「血糖値が上がったからだ」と説明されがちだが、実は、食事内容や血糖値の変動と眠気の因果関係を明確に断言できるエビデンスは乏しいという。

 また、「食後には消化のために血液が胃腸に集まり、脳への血流が減ることで眠くなる」という説明もよく聞く。しかし、これもあまり説得力ないらしいのだ。

 食後の眠気の鍵を握っているのは「オレキシン」という物質が候補であるそうだが、まだ完全にはわかっていないとのこと。

食後の眠気は、単独の原因だけで説明できるほど単純な現象ではない。体内時計がもたらす覚醒の落ち込み、いわゆる午後の谷を背景に、食事の量や内容、睡眠の状態、自律神経の反応、そして脳内の覚醒維持システムであるオレキシン系の変化など、いくつもの要素が重なって生じる現象と捉えるのが、現時点では妥当である。
――『体力がすべて』p.150

 血糖値ばかりに気を取られて悩まず、もっと広い視点で考えたほうがよさそうである。

 単純に「睡眠の状態が良くない」という場合もあるだろう。恥ずかしながら私は本書を読んでようやく、自分の睡眠の状態が良くないことに気づいた。

 睡眠不足→眠い→昼寝→昼寝したから夜頑張らなきゃ→遅い時間に寝る

 このサイクルが午後の眠さを強めていたのである。

眠気とだるさへの対策

 食後の眠さは血糖値だけでなく、さまざまな要因が積み重なっていることをわかったうえで、自分に合う対策を見つけていくことが大事だ。

 本書の中から、「眠気やだるさへの対策」を紹介しよう。

①昼食を食べ過ぎない

 食後の眠気や集中力の低下は、血糖値の変動だけが原因ではないことはすでに紹介したとおりだ。実験では、血糖の波よりも、昼食の量のほうが眠気やパフォーマンスの低下に関わりやすいことが示されているらしい。

 たとえば単調な運転課題では、同じ条件でも食事量が多いほど、食後の眠気のパフォーマンスの低下が大きくなりやすいことがわかっている。

 まず大切なのは「食べ過ぎない」ことである。

②カフェインはタイミングを工夫

 カフェインは眠気を覚ますのに効果がある。ただし、摂取するタイミングが就寝時間に近づくほど睡眠の質を下げ、翌日に影響してしまう。

 少なくとも就寝6~8時間前までに切り上げるのが良い。時間を気にせず、とりあえずコーヒーや紅茶を飲んでいるという人は気を付けたい。

③短時間の仮眠

 多くの人は昼過ぎに自然な眠気が高まりやすく、これは「午後の谷」と呼ばれる。

 この時間帯に仮眠をとることで午後の眠気が和らぎ、日中のリズムを保ちやすくなるが、夕方以降だったり、時間が長すぎたりすると良くない影響が出てしまう。

 ポイントは13時~15時を目安に、10~20分ほどの仮眠をとること。このくらいなら、たとえば昼食後デスクにつっぷして寝るのでも良いだろう。

 カフェインを摂取してすぐに10~20分の仮眠をとる「カフェインナップ」も有効だ。

 カフェインは、摂取してから効き始めるまでに少し時間がかかるため、その待ち時間に仮眠をとることで、目覚める頃に覚醒作用が重なってスッキリしやすい。

 私は15分のタイマーをかけて仮眠をするようにしたところ、だるくなることなくスッキリできた。

 食後の眠気に悩んでいる人は、本書を参考に対策してみてはどうだろうか。

(本記事は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』に関する特別投稿です)