「仕事はできるのに、なぜか部下から慕われない」。そんな上司がいます。仕事の指示は的確で、困ったときには相談にも乗ってくれる。それなのに、部下からはどこか距離を置かれてしまう。実は、仕事の指導がうまいことと、部下から信頼されることは、必ずしも同じではありません。では、仕事はできるのに部下から距離を取られる上司には、どんな特徴があるのでしょうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その理由を解説します。

「仕事はできるが、部下から距離を取られる上司」の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

指導はきちんとしてくれる。でも、どこか遠い

仕事の進め方は丁寧に教えてくれる。
ミスがあれば、次から防ぐ方法も伝えてくれる。
慣れてきたら、少し難しい仕事も任せてくれる
――部下から見ても、仕事の面では信頼できる上司です。

それなのに、なぜか部下との間に距離がある。
こうした上司に見られるのが、部下の成長に関心がないわけではないものの、その関心が「今の仕事をできるようにすること」に偏っているという特徴です。

「仕事を回すための成長」だけを見ている

この上司が部下を育てる目的は、はっきりしています。
この仕事をできるようにする。もっと任せられるようにする。チームの成果を上げる。

どれも上司として正しい考えです。ただ、そこから先にはあまり目が向いていません。

この人は社会人として、これからどんな力を身につけたほうがいいのか。
今のうちに、どんな経験をしておくといいのか。
数年後、どんな人材になっていたらいいのか
――部下本人の長い目で見た成長までは、考えが及んでいないことがあります。

部下はそれを感じ取ります。
「仕事のためには育ててくれる。でも、自分自身がどう成長するかには、それほど関心がない」。
その感覚が積み重なると、上司は「仕事を教えてくれる人」ではあっても、「自分のことを考えてくれる人」にはなりにくくなります。

「この先」に目を向けた一言を添える

大きなことをする必要はありません。
仕事を教えるときに、ときどきその人の今後にも触れてみてください。

「この経験は、この先もきっと役に立つよ」
「今のうちに、人前で話す力もつけておいたほうがいい。あとで必ず効いてくるから」

仕事の指示や指導は同じでも、こうした一言があるかどうかで、部下の受け取り方は変わります。
「この上司は、今の仕事だけでなく、自分の先まで見てくれている」と感じられるからです。

部下を「今の仕事で使える人」として見るだけでなく、「社会人として成長していく人」として見る。
そうした関わりが、上司と部下の距離を少しずつ縮めていきます。