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1bpで多額の損益を生む巨大市場の構造
デリバティブ取引は、約定した瞬間から別の仕事が始まる。
金利がわずか0.01%(1bp)動くだけで、損益が約3,000億円変わる規模の円金利リスクが、2025年12月の1カ月に取引された。年間の契約規模を示す想定元本も、25年には約1京2,202兆円に達した。
この巨大な取引を支えるのが、クリアリング(清算)である。取引の相手方を誰とし、どれだけ証拠金を預け、何を担保に使うのか。必要な資金を誰が用意し、参加者の破綻をどう処理するのか。クリアリングという市場構造は、約定から始まる。
08年の世界金融危機後、20カ国・地域(G20)は標準化された店頭(OTC)デリバティブを中央清算(CCPクリアリング)へ移す改革を打ち出した。金利スワップやクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の一部に清算義務が導入された。非清算取引に証拠金規制が、銀行に資本規制が課された。
こうして標準化された取引の多くが清算機関(CCP)へ集まった。国際決済銀行(BIS)の統計では、金利デリバティブの中央清算比率は19年以降、9割近くで推移している。
中央清算や電子取引が広がり、取引量は拡大した。しかし世界の店頭デリバティブの想定元本残高は、12年末約633兆ドルから16年末約483兆ドルへ減少した。その後増加するも、24年6月末で約730兆ドルにとどまる。
なぜ日々の取引がそのまま残高へ積み上がらないのか。カギは、“相殺”と“圧縮”にある。相対取引でも、同じ取引相手との債権債務はネッティング(相殺)できる。取引がCCPへ集まれば、多者間で相殺でき、標準化された取引をコンプレッション(圧縮)しやすくなる。重複する契約を終了させて、取引本数と想定元本を減らせるのだ。
金融安定理事会(FSB)は18年、中央清算への誘導という政策目的をおおむね達成したと評価した。BISも19年、クリアリングとコンプレッション、電子化が市場構造を変えたと分析している。
規制は市場を単純に小さくしたのではなく、取引をCCPへ集めて相殺し、圧縮するよう配線を組み替えた。相対取引に分散していたカウンターパーティー・エクスポージャーはCCPとの関係に集約され、共通の証拠金とデフォルト管理の下に置かれた。CCPは新たなリスクの集中点になった。







