西側の弱体化と中露印の結束が変える世界秩序、地政学リスクが高まる市場にも耐え得る日本株の構造変化写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

弱まる西側諸国の結束力

 世界は、米国を中心とする民主主義国と、中国を軸とする非民主主義国の二大勢力に分断され、それらの対立が深まりつつある。現在の地政学リスクの高まりは、米国の伝統的孤立主義への回帰による歴史的必然である。引き続き、東欧や中東を中心に戦乱が発生し、世界経済や金融市場を混乱に陥れるリスクがある。本連載の最終回は、ロシアと中国、インドの結束が非民主主義国の勢力を強める可能性について分析する。

 米トランプ大統領は「国家安全保障戦略2025」において、(1)米国第一主義と西半球重視、(2)中国に対しては敵対ではなく抑止、(3)西側同盟国に対する負担増要求――などの基本政策を示している。これは、米国のDNAともいえる外交的孤立主義の復活を示すものである。ウクライナに侵攻したロシアに対する制裁への参加国は、米国とカナダ、欧州31カ国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの計38カ国に過ぎない。

 こうした中で、長年、強い結束を誇ってきた西側諸国の関係は、根本的に揺らぎつつある。北大西洋条約機構(NATO)などによって強固な関係を維持してきた欧州に対して、米国は軍事的な自立を求めている。さらにトランプ氏によるグリーンランド購入要求は、米欧の摩擦を引き起こした。カナダとの関税率引き上げを巡る対立は、両国の長年の強固な同盟関係に亀裂を生じさせている。このように、民主主義陣営は米国というリーダーを失いつつある。

 さらに、民主主義国の宿命であるが、西側諸国の政治のトップが比較的頻繁に交代することも弱みである。かつて西側諸国の大統領や首相の在任期間は長かった。代表例が、フランスにおけるフランソワ・ミッテラン大統領(14年弱)やジャック・シラク大統領(12年弱)、英国のマーガレット・サッチャー首相(11年)やトニー・ブレア首相(10年)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(16年)やヘルムート・コール首相(16年)などである。しかし21世紀に入って、各国の歴代大統領・首相の数は、米国5人、日本13人、英国8人、フランス4人(大統領)、ドイツ4人と多くなり、任期は短期化している。