「頑張っているのに成果が出ない」と悩んでいませんか? 11月18日に発売予定の新刊『その仕事、スケールするの?』は、シアトルの巨大IT企業で働く著者・福原たまねぎ氏が、世界一流の同僚から学んだ成果の出る仕事の仕方を明かす1冊です。今回は、発売に先駆けて、本書の冒頭を公開します。
Photo: Adobe Stock
米国オフィスでかけられた一言
3月27日午後6時。シアトルは雨季。
窓の外には、この時季らしいご機嫌斜めな天気が広がっていた。
空を埋め尽くすどんよりした雲は、白い絵具に黒をほんの1滴垂らしたような淡いグレー。しとしと降りつづける雨。
「仕事が終わらない……!」
だれもいないオフィスで、ぼくはデスクに座りながら1人頭を抱えていた。発狂する寸前だった。
そのとき、肩をトントンと叩かれた。
ハッとして振り返ると、掃除のおじさんが立っていた。
「あんた、まだ働いてるの?(Are you still working…?)」
ぼくはあんぐりと口を開けたまま、放心した。こんなに努力してるのに……。
頭のなかに、ある光景が浮かんだ。
車で軽快に走り去っていく同僚たち。そしてママチャリを全力でこいでいる自分。
日中、世界トップレベルのエンジニアたちは極めて高度な技術論をさも簡単そうに展開していく。
グローバルなプロジェクトを統率するプロダクト・マネージャーたちは、超高速の英語で瞬く間に議論を展開しながら、バシバシ重要な意思決定をしていく。
しかも彼らは、朝7~8時に余裕の顔で出社してきたかと思ったら、夕方16時ごろにはサッと帰っていく。
月曜日の朝からニコニコしていて、金曜の午後にはもう週末の予定を楽しそうに話している。
かたやぼくは、残業しても、土日に出勤しても、仕事が終わらない。タスクは増える一方。
頭のなかはシアトルの曇り空のように、どんよりとしていた。何も光が見えない。
どんなにこいでも、差はひらく一方だった。「もう日本に帰るしかない」膝から崩れ落ちるような絶望のなかで、ぼくは本気でそう思っていた。
もしかして、あなたにも似たような経験があるだろうか。誰よりも働いているのに、要領のいいあの人が評価される。忙しいのに、成果がでない。もしそんな悩みを抱えているなら、その悩みは1つの「考え方」で解消する。
米国ビッグテックで学んだこと
こんにちは。福原たまねぎです。ぼくはいま、アメリカ北西部の街、シアトルにあるビッグテック企業で働いている。周りは世界各国から集まった優秀なエンジニアやデザイナーばかりだ。
ぼくの役割は、彼らをリードしながら「何をどうつくるとのか」を決めるプロダクト・マネージャー。
世界20カ国以上で使われるサービスの舵取りを、シアトルの同僚たちと一緒に担っている。彼らは、米国ビックテック(Google・Apple・Microsoft・Amazon・Meta)やマッキンゼー、BCGなどの輝かしいキャリアの持ち主だ。
こう聞くと「彼らと働けるなんて、さぞかしすごい人なんだろう」と思うかもしれない。でも、そんなことはまったくない。ぼくはずっと、コンプレックスまみれの人間だった。
学生のころから成績は悪く、要領が悪い。新卒で入った渋谷のベンチャー企業や、その後に転職した外資系IT企業の日本支社では、外資系コンサルで鍛え上げられたであろう凄腕エリートたちに圧倒された。成果をアピールすることも大の苦手で、昇進も周りよりずっと遅かった。
頭の回転で勝負できないぼくに残された手段は、1つだけ。時間を捧げること。ただそれだけだった。
それでも、打倒平日朝から晩まで、ときには週末まで働きつづけることで、なんとかサバイブしてきた。
「才能がない分、努力で埋めるしかない……!」それがぼくの、長年の信念だった。だからシアトルに来ても同じことをやった。
夜遅くまで粘った。土日も出勤した。努力で差を埋めようとした。
でも、差は縮まらなかった。




