11月22日に実施される東京都の「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J YEAR 3)」。前回の記事では、2019年度以降に公表された過去問をもとに、「留学・ホームステイ」「学校と地域」「身近な出来事」を中心とした出題傾向を紹介しました。今回は麗澤大学外国語学部教授で、『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』などの著書がある森秀夫さんが、その分析をもとに「今年の予想問題」と「残り1か月の練習法」を具体的に示します。
Photo: Adobe Stock
点を落とす生徒に共通する「3つの沈黙」
ESAT-Jは「できていること」を評価する加点方式です。間違いを恐れて黙ってしまうと、評価に必要な発話が得られません。質問に合った内容を、伝わる英語で話すことを目指しましょう。
過去問を解いた生徒を見ていると、沈黙が起きる場所は決まっています。
一つ目は、Part Bで「質問を作れ」と言われたときです。昨年度は「日本で行きたい場所」、一昨年度は「今までに訪れた国の数」を相手に尋ねる問題でした。答える練習はしていても、“How many countries have you visited?”と自分から聞く練習をしていない生徒は、ここで止まります。
二つ目は、Part Cの2コマ目以降です。1コマ目は“Last week, I went to the bus stop.”と言えても、次の絵で何が起きたかを“Then,”“So,”でつなげない。つなぎの表現を練習しておくと、出来事の流れを説明しやすくなります。無理に接続詞を入れなくても、まずは内容に合った文を順番に話しましょう。
三つ目は、Part Dの理由です。“I think parks are good.”で止まってしまう。解答例を見ると、“because we need places to relax. For example, we can enjoy sports there.”と、理由や例を添える練習が大切です。
残り1か月の練習は、この3つの沈黙をなくすことに集中してください。
練習法1:音読は「意味のまとまり」で区切る
音読文には、“Do you go to the library?”“Have you heard about the new math club?”のような呼びかけの疑問文で始まるもののほか、人物紹介や物語もあります。文の意味に合った抑揚で読む、人名・地名ははっきり読む、“If you want to join, please talk to Mr. Harris.”はIf節の後で一拍おく。
30秒の準備時間は、英文の意味を確認しながら、「どこで区切るか」「どの語を強く読むか」を決める時間に使ってください。速く読む必要はありませんが、30秒以内に読み終えられる、聞き取りやすい速さで練習してください。
練習法2:画面を見て「1文で」答える10秒練習
フロアガイドや時間割を見て、“Which floor is the restaurant on?”に“It's on the third floor.”と1文で返す練習です。長く言う必要はありません。短い1文や語句で答えられる問題もあります。ただし、理由や自分の経験を尋ねられた場合は、質問に合った内容を述べましょう。
まずは、次の4種類の表現から即答の練習を始めましょう。
・時刻(It starts at 8:30.)
・曜日(It's on Wednesdays.)
・階や場所(It's on the second floor. / It's next to the library.)
・最上級(The train is the fastest way. / The soccer game will start the earliest.)。
練習法3:日本語の指示を疑問文に変える「質問ドリル」
Part Bで最も差がつく「自分から質問する」問題の練習です。
•「冬休みにしたこと」→ What did you do in your winter vacation?
•「今夜の夕食後の予定」→ What are you going to do after dinner tonight?)
•「訪れた国の数」→ How many countries have you been to?
•「食べてみたい日本食」→ What Japanese food do you want to try?
毎日5つ、声に出してください。コツは順番です。
まず疑問詞(What / How many / Which / When)を決め、次に時制(したこと=過去、すること=未来、数=現在完了)を決める。この順番で考えると10秒で作れます。
練習法4:4コマは指定された書き出しと、流れに合った接続表現で
まず画面に指定された書き出しを確認します。2024・2025年度の本試験は“Last week”、2025年度の追・再試験は“Last weekend”でした。場所から話し始める場合も、絵に合わせてI went to ~. や I was at ~.などを選びましょう。
背景は過去進行形(My friend was playing the piano.)、出来事は過去形(I started to sing.)。2コマ目以降は、必要に応じてThenやAfter thatで順序を示し、Soは前の出来事の結果を述べるときに使います。
これだけで4文、40秒は埋まります。絵の細部を全部言う必要はありません。「誰が、どこで、何をして、どうなったか」の一本線が通っていれば、コミュニケーションは達成されています。
練習法5:意見は「意見→理由→例→意見」の4文で
昨年度の解答例は、次の2文です。
“I think talking to local people is a good way to learn more about our town. Local people have lived here for many years, so they can tell us interesting things about our town.”
「意見→理由→例→まとめ」の4文程度は、練習用の型として使えます。ただし、4文にすることや最初の意見を繰り返すことは採点条件ではありません。40秒以内で、理由や例、補足情報を分かりやすく伝えることを優先しましょう。
この型を、「学校」「町」「環境」「外国の人との交流」の4テーマであらかじめ作り、録音して聞き返してください。本番でテーマが変わっても、理由と例の部分は使い回せます。
見落とされがちな注意点が一つあります。2023年度本試験には「日本の地名や人名などを使う場合には、それを知らない人に分かるように説明してください」という指示がありました。2024・2025年度の本試験に同じ指示はありませんが、相手に分かる説明を心がけることは大切です。
“undokai”と言うなら“a sports festival at school”と一言添える。この“相手意識”も採点対象です。
今年の予想問題――“our town”の次は何か
過去の出題を見ると、2025年度本試験のPart Aは「留学生の紹介」と「地域での活動紹介」でした。Part Bには、買い物や習い事、科学博物館の体験イベントなどの場面が見られます。Part Dの本試験では、2024・2025年度に“our town”がテーマになりました。
これだけで今年の出題テーマや出題確率を判断することはできません。本稿では練習の幅を広げるため、「学校」「外国の人との交流」「環境」を題材とした予想問題を用意しました。
以下は、過去問の形式に合わせて作成した予想問題と解答例です。
予想問題Part A音読
[No.1]あなたは、英語部の活動で、日本に来たばかりの留学生のルーカスを全校生徒に紹介する動画を作っています。
This is Lucas. He is from Brazil. He likes soccer, and he has played it since he was six. He wants to learn Japanese and make many friends here. If you see him, please say hello to him.
[No.2]あなたは、海外交流先の生徒に向けて、自分の学校の行事を紹介する動画を作っています。
Do you have a sports day at your school? We have one every September. All the students run, dance, and play games together. My favorite event is the relay. I think it's a good chance to work as a team.
予想問題Part B会話
あなたはオーストラリアに留学しています。ホストファミリーのエマと、地域のコミュニティセンターのチラシ(料理教室・ダンス教室・サッカー教室・英会話教室の曜日と時間)を見ながら話しています。
Q1. Which class do you want to take?
〈解答例〉 I want to take the cooking class.
Q2. Why do you want to take that class?
〈解答例〉 Because I like cooking with my family.
Q3. What do you usually eat for breakfast?
〈解答例〉 I usually eat rice and miso soup.
Q4. How long do you study English every day?
〈解答例〉 I study English for about thirty minutes every day.
Q5. エマに対して、次のことを英語で質問してください。「日本に来たことがあるか」
〈解答例〉Have you ever been to Japan?/ Have you visited Japan before?
予想問題Part Cナレーション
あなたは、留学生のマイクに、先週の駅での出来事を英語で説明しようとしています。“Last week …”で始めてください。
1コマ目:駅のホームで、前を歩く女性のかばんから財布が落ちる。
2コマ目:あなたが財布を拾う。
3コマ目:女性を追いかけて財布を渡す。
4コマ目:女性が笑顔でお礼を言う。
〈解答例〉 Last week, I was at the station. A woman was walking in front of me, and her wallet fell from her bag. So, I picked it up and ran after her. Then, I gave it to her. She smiled and said, “Thank you very much.”
予想問題 Part D 意見スピーチ
Hello everyone, today you will make this short speech, “What is a good way to make friends with people from other countries?” Choose one of these ideas, “school events,”“sports,”“online tools,” or “your own idea.” Tell us about it with reasons and examples.
〈解答例〉 I think sports are a good way to make friends with people from other countries. When we play sports, we don't need many words. For example, I played basketball with a student from Canada last year, and we became good friends. So, sports are a good way to make friends.
Part Dについては、このほか次の2テーマも、過去問の形式や中学校で学ぶ内容に合わせた練習用テーマとして取り上げます。
・What is a good way to make our school better?(ヒント:more clubs / a bigger library / more school events)
・What is a good way to protect the environment in our town?(ヒント:cleaning the park / using less plastic / riding bicycles)
予想テーマ3つすべてで、「意見→理由→例」を基本に、必要に応じてまとめや補足を加え、40秒以内で話す練習を一度はしておくことをお勧めします。
「正しい英語」より「止まらない英語」
ESAT-Jは3観点の加点方式です。文法が少し違っても、質問に合った内容が聞き取れる声で録音されていれば点になります。一方、考えているうちに録音が終わり、十分な発話がなければ、その問題では英語を話す力を評価してもらえません。
残り1か月は、「短い質問に15秒以内で答える」「4コマや意見を40秒以内で説明する」練習を中心にし、必要な単語や文法も確認してください。4文は練習の目安です。
「留学先や留学生とのやり取り」「学校と町」「身近な出来事」など、身近な場面を中心に練習しましょう。そこで使う英語は、教科書の範囲で十分です。
注:予想問題は、東京都教育委員会が公表した過去問の形式に合わせて著者が作成したもので、実際の出題を保証するものではありません。
麗澤大学外国語学部教授
智大学大学院修士課程修了。英語教育・英語教員養成が専門。20年以上、旺文社の『全国大学入試問題正解 英語』の解答者として、大学入試問題を分析している。その中で、なぜ多くの日本人が難解な大学入試の英文を理解できるにもかかわらず、いつまでも話せるようにならないのかと疑問に思い、中学校や高校で学習する英文法と英単語の知識をいかに定着させるか、またそれらを実際の運用にどのようにつなげていくかに関心を持って研究を行っている。主な著書に『4コマ漫画で英語1分間スピーキング』(Gakken)、『AREA式で英語2分間スピーキング』(Gakken)、『見たまま秒で言う英会話』(ダイヤモンド社)『パターンで攻略 英語スピーキング入門』(DHC・共著)など。








