短期間で英語を話せるようになりたい――そんな人に試してほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」を鍛えることができる。実践的な話す力を養うための最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「注意すべき発音と練習方法」について話を聞いた。

日本人が苦手な英語の4つの発音と「発音が良くなるトレーニング法」Photo: Adobe Stock

日本人学習者にとって英語の発音が難しい理由

――日本人学習者にとって、英語の発音が難しい理由を教えてください。

森秀夫(以下、森):英語が伝わらないときは、話す内容ではなく、発音が間違っている場合があります。

 発音は、話すときはもちろん、聞くときにも大切な要素です。聞き取れない音は再現できないため、発音できません。聞き取ることができれば、音を再現して話すことができるはずです。

 日本人の英語学習者の大半が、受験のために英語を学んできたので、英語を読んだり書いたりする機会が多いのです。

 一方、英語を話したり聞いたりする機会はそれほど多く確保できていません。一般的には、発音の学習を後回しにすることが多く、基本的な音について学んでいない人が多いのです。

 英語を話せるようになるための第1歩として、1つ1つの英語の音が発音できるようになり、また、聞き取れるようになることが大切です。

 次に、それらの音が集まってできている英単語、そしてその英単語が集まってできた句や節、英文を正しく発音できるようになる必要があります。

日本人学習者が注意すべき発音

――日本人学習者は、特にどのような発音を苦手としているのでしょうか?

:日本人学習者が注意したい発音のチェックリストを用意しました。中学校の教科書でもよく出てくる英単語です。しっかりと区別して発音できるかどうか確認してみてください。

【チェックリスト】

① “glass”と“grass”の違いを明確に発音できますか。
➁ “she”と“sea”の違いを明確に発音できますか。
➂ “sink”と“think”の違いを明確に発音できますか。
④ “boat”と“vote”の違いを明確に発音できますか。

:チェックリストのすべての単語について、自信をもって発音できましたか。

日本人学習者が注意すべき発音を克服する練習方法

――基本的な単語ですが、発音は意外と難しいですし、聞き分ける自信もありません。このような注意すべき発音を克服するには、どのような練習をすればよいのでしょうか。

:音声データはどこでも入手できますが、耳だけを頼りに発音練習しても、なかなか思うように発音できるようにはなりません。

 まずは、口の動かし方や発音のポイントを理解することが大切です。口の動きを動画やイラストで確認するか、ネイティブスピーカーがいれば確認してもらいながら発音練習をするとよいでしょう。

 YouTubeで検索すれば、ネイティブが発音する際の口や舌の動きを解説している動画はたくさんありますし、低価格で利用できるオンライン英会話サービスが増えてきているので、そういったサービスを利用してネイティブに確認してもらうとよいと思います。

 また、発音を定着させるうえで、音読は有効なトレーニングとなりますが、その際には自分が苦手としている特定の音に意識を向けて音読するといいでしょう。

 ほかにも、特定の音に焦点を当てた英語の早口言葉がありますので、早口言葉ができるようになるまで毎日練習するのも飽きずに発音練習する方法です。

――早口言葉の一例を教えていただけますか?

:では、特定の発音を意識的に練習するための早口言葉と例文を紹介します。

Red[red]とLorry[lɔ'ri]を意識した早口言葉

Red lorry, yellow lorry, red lorry, yellow lorry.
赤いトラック、黄色いトラック、赤いトラック、黄色いトラック。

:日本語の早口言葉に似たものがあります。赤巻紙青巻紙黄巻紙のイメージですね。

she[ʃiː]とsea[siː]を意識した早口言葉

She sells seashells by the seashore.
彼女は海岸で貝殻を売っています。

:YouTubeには、これらの早口言葉の動画があるので、映像で口の動きを確認しながら発音練習をすると効果的です。

 以下は、[ʃ]と[s]の発音を区別して練習するための単語リストです。ぜひ声に出して練習してみてください。

□ she-sea 彼女-海
□ sheet-seat シーツ―椅子
□ shell-sell 貝殻―売る
□ sign-shine 印―輝く
□ sort-short 種類―短い

:早口言葉のほかにも、s[s]th[θ][b][v]の違いを意識した例文を紹介しましょう。

s[s]とth[θ]を意識した例文

The proverb says, "Something is better than nothing."
「何かあるのは何もないよりましです」ということわざがあります。

[b]と[v]を意識した例文

My brother has visited the village before.
兄は以前、この村を訪れたことがあります。

:以下は、[b]と[v]の発音を区別して練習するための単語リストです。こちらもぜひ声に出して練習してみてください。

□ boat-vote 船―投票
□ berry-very ベリー(小果実)-とても
□ best-vest 最高の―ベスト
□ base-vase 基礎―花瓶
□ bow-vow お辞儀をする―誓う

:適切に発音できれば、相手に伝わりやすくなるのはもちろん、自信をもってコミュニケーションをとれるようになると思います。

 ただし、英語が伝わりにくい理由の一つに「声が小さい」ということもあるため、英語を話す際は「ゆっくりと」「大きな声で」「はっきりと」話すことも重要です。

参照:『世界を舞台に一目置かれる人になる 英語の発音・話し方技術22』(東海林舞・著、三修社)