英語を勉強しているが、英会話の上達を実感できない――そんな人に試してほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さず瞬時に答える「英語の反射神経」を鍛えることができる。本稿では、著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「英語を話せるようになるための学習のポイント」を教えてもらった。

英語学習に必要な「コツコツ」+「ワクワク、ドキドキ!」
私は趣味で週に一度テニスのレッスンを受けています。そこでは、サーブを重点的に練習する月もあれば、ストロークを中心に取り組む月もあり、80分の中でさまざまな基礎練習が組み込まれています。これらは一回一回積み上げる「コツコツ型」の練習です。
しかし、最後の15分ほどはゲーム形式で実力を試す時間が設けられています。
サーブが決まったときの喜びや、ストロークがきれいに入ったときの爽快感は、まさに「ワクワク、ドキドキ」の連続です。もし基礎練習だけで終わってしまったら、味気ない80分になってしまうでしょう。
英語学習も同じです。日本人は単語の暗記や例文の音読といった「コツコツ型」の学習を得意としますが、それだけでは長続きしません。
そこに、自分の力を試すアウトプットの場を取り入れることで、学習は一気に楽しく、実感のあるものに変わります。
前回に続き、今回は「コツコツ学習法」と「ワクワクドキドキ学習法」をいくつか紹介します。
特にワクワク型の学習法は、自分の創造力を活かし、思い切って挑戦してみることが大切です。
ぜひ、自分だけの「ワクワク学習法」を見つけてほしいと思います。
コツコツ学習法① 声に出す練習とシャドーイング
声に出して英文を読むことは、発音の矯正だけでなく、聞き取り力や語彙の定着、さらには文構造の理解にも役立つ総合的な学習です。
特におすすめなのが「シャドーイング」と呼ばれるやり方です。音声を再生し、それに少し遅れて同じように発音する方法で、英語特有のリズムやイントネーションが自然に身につきます。
最初は短い会話文やナレーションから始め、スクリプトを見ながら繰り返し練習します。
慣れてきたら字幕なしで挑戦し、聞き取りにくい部分を重点的に復習しましょう。大切なのは毎日少しずつ続けることです。完璧さを求めず、まずは「真似して声に出す」ことが上達への第一歩です。
コツコツ学習法➁:行動を英語でつぶやく
日常の動きを簡単な英文にして口に出すと、自然なアウトプットの練習になります。
たとえば「I’m brushing my teeth.」「I’m opening the window.」のように、生活の中でやっていることをそのまま英語にするのです。
声に出すだけでなく、録音して確認するとさらに効果的です。
特別な教材を準備する必要はなく、生活そのものが学習素材になります。
「この動作は英語でどう言うのだろう?」という疑問が生まれ、その都度調べることで語彙が広がり、記憶も定着します。
自分の経験に直結しているため、実際の会話でもすぐに使える表現が増えていきます。
コツコツ学習法➂:学習習慣を生活に組み込む
学習時間を特別に設けなくても、生活の一部として学習を組み込むことが可能です。
たとえば「朝起きたら一文だけ声に出す」「通勤電車でアプリを数分触る」といった小さな習慣を積み重ねるのです。
新しい習慣を身につけるにはおよそ3週間かかるといわれています。
最初は1日1分からでも構いません。重要なのは「今日もできた」と自分で確認し、小さな達成感を得ること。そうすることで「やめない力」が育ち、長期的に続ける基盤となります。
ワクワクドキドキ学習法①:インターネット上の交流で英語を実感する
今はSNSや言語交換アプリを通じて、手軽に海外の人と英語でやり取りできます。
短いコメントを投稿したり、絵文字を交えてメッセージを送ったりするだけでも十分です。
実際に自分の言葉が相手に伝わったときや、間違いを指摘してもらったときに得られる「通じた!」という実感は、大きなモチベーションにつながります。
重要なのは「完璧な文章を書くこと」ではなく、「生きた英語を試してみること」です。失敗を恐れずに使う姿勢こそが、語学力を一気に引き上げる原動力となります。
ワクワクドキドキ学習法➁:動画や映画を活用する
YouTubeや映画、ドラマなどの映像教材は、楽しみながら英語に触れられる効果的な方法です。
自分の関心のあるテーマ、たとえば「旅行ブログ」や「料理の動画」を選ぶと続けやすいです。
最初は字幕をつけて理解を確認し、その後で字幕なしに挑戦するとリスニング力が鍛えられます。
また、動画で出てきたフレーズを書き出して音読すれば、実用的な表現が自然に自分のものになります。
「楽しく観る」→「表現を覚える」→「使ってみる」という流れを作ることで、勉強というより趣味に近い感覚で続けられます。