仕事の電話で相手の声が聞き取れなかったとき、あなたなら何と言うだろうか。「聞こえません」「もう少し大きな声でお願いします」。そんな言葉を、つい口にしてしまう人もいるかもしれない。
じつは、同じことを伝えるにしても、ちょっとした言葉の選び方で、相手に与える印象は大きく変わるという。では、相手を不快にさせず、むしろ「感じのいい人だな」と思ってもらえるのは、どんな言い回しなのか。『オトナ女子のすてきな語彙力帳』の刊行にあたり、ライターの三橋温子さんに、ご自身の経験を踏まえて寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
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感じのいい後輩が電話で口にした言葉
社会人になってまだ若手のころ。
勤めていた会社の後輩に、とても感じのいい女性がいました。
いつも周囲に気を配っていて、仕事のグチや誰かの悪口はいっさい言わない。
ひとりで抱え込んでいないかな…とたまに心配になるくらい、心やさしい後輩でした。
彼女とは席が近かったので、ほかの同僚と話す声や電話でお客さんと話す声がよく聞こえてきたのですが、彼女が口にしたなかでもとくに印象に残っている言葉があります。
それは、
「すみません、お電話が遠いみたいで」。
聞き慣れない言葉に一瞬「ん?」と思いましたが、なるほど、電話をしている相手の声が聞き取りにくかったんだな、とすぐにわかりました。
「聞こえません」「もう少し大きな声で」などではなく、聞こえなかったことを電話や電波のせいにする。
彼女らしいすてきな言い回しだなぁ、と感心しました。
実はこれ、コールセンターなどでよく使われる丁寧な表現。
あとになってそう知りましたが、社会に出て間もない後輩がその言葉を使いこなしていたことに、またもや感心したことを憶えています。
「相手が悪い」とジャッジしない
たとえ相手に落ち度があったとしても、相手を責めるような言葉を投げるのではなく、いったん自分や別のものの責任にする。
これはビジネスでもプライベートでもとても大切な心構えだと思います。
そうした言葉づかいの例が紹介されているのが、『オトナ女子のすてきな語彙力帳』。
たとえば、仕事相手から期日までに返事をもらえなかったときは、
「念のため」と添えることで、相手の過失と決めつけない、やさしい言い回しに。
――『オトナ女子のすてきな語彙力帳』P178より
相手の話がわかりにくいときは、
――『オトナ女子のすてきな語彙力帳』P116より
と自分のせいにする。
もし相手に謝られたら、
――『オトナ女子のすてきな語彙力帳』P207より
と一歩下がることも、その後の関係性を良好にする秘訣です。
ときにはズバッと指摘しなければならない場面もありますが、どちらが悪いかをジャッジする必要がないのであれば、相手を不快にさせたり恐縮させたりする言い方をあえて選ぶ意味はないかもしれません。
「ついストレートに指摘してしまう…」「私の言い方、キツイかも…」という方は、このジャッジしない考え方が参考になりそうです。





