最先端の自動車技術と宇宙技術が搭載された、TeslaのRoadster(公式サイトのスクリーンショット)
空を飛ぶ車が実現しても、一般の道路では自由に使えません。では、そんな技術にビジネスとしての価値はあるのでしょうか。実は、自動車とは無縁の分野に、思いもよらない巨大市場が隠れているかもしれません。テスラとスペースXが切り開く可能性を考えます。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
空飛ぶテスラは
ただの「ショー」ではない
空を飛ぶテスラのロードスターが話題です。AIが生成したCGではなく本物のスポーツカーが空中を飛んで、無事、地上に着陸しました。
映像はさながら映画『バックトゥーザフューチャー』の空飛ぶ車そのもので、
「また新しい未来が来たんだな」
という認識を新たにしたものです。
この空飛ぶ車、技術としては圧縮空気を噴射させることで車を空中に浮かばせる技術です。テスラと同じくイーロン・マスクがCEOを務めるスペースXの技術が用いられていて、まさに今この両社の合併話が進んでいます。
従来NASAでは海に捨てられてしまっていた打ち上げロケットを、スペースXでは空中でコントロールして、発射台で回収する技術を生み出しました。そのことでロケットは10回以上再利用できるようになり、宇宙ロケットの打ち上げコストを大幅に下げることができました。
噴射で重たい物体を空中に浮かせる
それを空中で制御してコントロールする
これらふたつの技術をテスラの新型自動車に搭載したことで冒頭の空飛ぶ車のシーンが演出できたのです。
実際のデモンストレーションでは停車する乗用車やトラックの上を空飛ぶロードスターがジャンプして追い越すシーンも演出されました。
「渋滞のときなどに便利だろうな」
とは思うのですが、この走行、日本だけでなくアメリカの道路交通法でも許可されていません。
つまりすごい技術なのですが、どう使われるのかがいまひとつはっきりしない。そのことから今回のデモについては、
「イーロン・マスクが業績が頭打ちになってきたテスラ社をスペースX社と合併させるために仕掛けたショーだったんじゃないのか?」
という観測が世界を駆け巡りました。
実際、空飛ぶ車を披露した直後、時間外取引でテスラ株が5%上がる局面があったものの、翌営業日の取引では結局テスラ株は2%下落してしまいました。
ではこの驚愕の技術、実際には何の役にもたたないのでしょうか?
実際の道路では空を飛ぶことができない車なら無用の長物にも見えますよね。しかしこの技術でテスラによってものすごく大きなイノベーションが仕掛けられ世の中が破壊的に変わる可能性があるとしたらどうでしょう。
イーロン・マスクがテスラとスペースXの合併について、
「良いアイデアだ」
と発言している裏側に、ある構想があるとしたら?その話を聞いてください。







