後輩や部下から相談されると、できるだけ力になりたいと思う。自分の経験をもとに、役に立ちそうなアドバイスもしている。それなのに、相手の反応はどこか浮かない。気づけば、以前ほど相談されなくなっている。そんな違和感を抱えている人にぜひ読んでほしいのが『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著)だ。面倒見がいいのに煙たがられてしまう人がつい口にしているひと言と、本当に頼られる人の聞き方について、本書から引用しつつ紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

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よかれと思ったアドバイスが、届かない

「あの人に相談すると、結局お説教になるんだよね」
「話を聞いてほしかっただけなのに」
「悪い人じゃないけど、ちょっと面倒くさい」

相談に乗ったあと、陰でそんなふうに思われてしまう人がいる。

本人は、相手のためを思って話を聞いている。

自分の経験を惜しみなく伝え、解決策も示している。

それなのに、相手はアドバイス通りに動かないし、次第に相談にも来なくなる。

その原因は、相談を受けたときの最初のひと言にある。

「◯◯すれば?」

本書は、こうした人の聞き方を、次のように説明している。

あるいは、「うまいことを言おう、悩みを解決してやろう」と思いながら聞いている人もいます。
(中略)こういう人は“教えてやろう”という気持ちが先行し、相手の話をちゃんと聞いておらず、成熟した知的な態度とはいえません。
“教えてやろう”と思っている人は「◯◯すればいいじゃない」「なんで◯◯しないの?」「そんなこと悩まなくていいよ。◯◯だし」「簡単だよ。◯◯すればいいんだよ」と、解決するための言葉をよかれと思って投げかけます。
しかし、“教えてやろう”は多くの場合、単なるおせっかいであり、聞き手は教えてもらうことを望んでいません。

――『頭のいい人が話す前に考えていること』より

相談した側は、まだ自分の気持ちを整理しきれていないことが多い。

そこに「◯◯すればいいじゃない」と答えを先に出されると、「話をちゃんと聞いてもらえなかった」と感じてしまう。

しかも、アドバイスが正しいほど、相手は反論しにくい。

結果として、表面上はうなずきながら、心の中では距離を置かれてしまうのだ。

本書の著者自身も、親切心からアドバイスしたのに相手が不機嫌になり、のちに「なんで言った通りにやらないの?」と責めて関係がギクシャクした経験がある、と明かしている。

年齢や経験を重ねた人ほど、伝えられることが多い分、この落とし穴にはまりやすい。

頼られる人は、アドバイスせずに「整理」する

では、頼られる人はどう聞いているのだろうか。

本書には、著者が出張に向かう空港で、妻から子どもの七五三の衣装について相談されたエピソードが登場する。

時間がないなかで、著者がまず口にしたのは、自分の好みではなかった。

「さっき送ってもらった写真の中で、どの衣装にするか、決めたいんだよね?」

と、相談のゴールを確認したのだ。

続けて「迷っているポイントを教えて」と、相手の考えを先に聞く。

価格、色、子どもたちの好み、撮影できる時間。

妻が話した迷いのポイントを一つずつ確認し、判断に関係の薄い情報を一緒に外していく。

最後に残ったのは「時間」という判断基準だった。

著者は答えを出していない。

それでも、妻は「わかった。考えてみるね」と、自分で決める準備が整った。

答えを言う前に、ゴールを聞く

本書は、相手の話を整理しながら聞くことで、話している本人も自分の考えを深く理解でき、行動に移せるようになると説明している。

「◯◯すればいいじゃない」と言いたくなったら、その前に、ひとつだけ聞いてみる。

「何を決めたいのか」「どこで迷っているのか」。

答えを出すのは、相手に任せればいい。

アドバイスを我慢して、話を整理する側に回る。

それが、年齢を重ねても「また相談したい」と思われる人の聞き方なのではないだろうか。