会議では、なるべく的外れなことを言わないように気をつけている。発言もそれなりにしているし、間違ったことは言っていないはずだ。それなのに、なぜか自分の意見が採用されない。周りから「頼りになる」と思われている実感もない。そんな違和感を抱えている人にぜひ読んでほしいのが『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著)だ。真面目なのに会議で評価されない人がつい口にしている発言と、本当に評価される人の発言の違いについて、本書から引用しつつ紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

会議Photo: Adobe Stock

正しいことを言っているのに、評価されない人

「あの人、いつも無難なことしか言わないよね」
「言ってることは正しいんだけど、何も決まらない」
「結局、何が言いたかったんだろう」

会議のあと、そんなふうに言われてしまう人がいる。
本人は真面目で、的外れなことを言わないように気をつけている。
むしろ、誰よりも慎重に言葉を選んでいるつもりだ。
それなのに、発言すればするほど、周りからの評価は下がっていく。
その原因は、発言の中身にある。
何か言っているようで、何も言っていない
本書は、会議で評価を下げてしまう発言を、次のように紹介している。

たとえば「なんか言っているようで、何も言ってない発言」をする人たちは、「賢いふりをする人」の代表例です。
新商品の具体的なアイデアを検討する場で「ユーザーのニーズをとらえて、適切に施策を打つべきですよね」と、いかにも正しいけど、なんのアイデアにもなっていない発言。
(中略)
他にも「何がいいかは目的によりますね」とだけ言う人。「議論が必要ですね」とだけ言う人。「検討を重ねましょう」と言って、何もしない人。

――『頭のいい人が話す前に考えていること』より

どれも、間違ったことは言っていない。
だからこそ厄介なのだ。
反論されることもないし、その場では賢そうに聞こえる。
しかし、話を前に進めるアイデアは何ひとつ含まれていない。
こうした発言を繰り返していると、周りからは「この人に聞いても仕方がない」と思われ、やがて聞く耳を持たれなくなってしまう。
本書は、こうした中身のない「賢いふり」は、その場しのぎにはなっても、人の心を動かさないと指摘している。

評価されるのは「最初に案を出す人」

では、会議で本当に評価されるのは、どんな人なのだろうか。
本書には、ある会議のエピソードが登場する。
部門長が「何か考えがある人は発表せよ」と促すと、20代後半の若手社員が手を挙げた。
売上不振の原因はキャッチコピーにあると考え、自分で考えた新しいコピーを披露したのだ。
ところが、そのコピーはお世辞にも優れているとは言えないものだった。
すかさず「問題はキャッチじゃないでしょう、価格ですよ」と、ほかの社員から批判が相次いだ。
それでも、部門長はこう言った。

「非常に良い意見だ。私は気づいていなかった。検討事項に加えよう」

会議はそこから、価格設定やターゲット、営業の方法にまで話が広がり、新しい施策がまとまったという。
あとで理由を尋ねた著者に、部門長はこう答えている。
「安達さん、どんな仕事でも、一番偉いのは“最初に案を出す人”なんですよ。批判なんてだれでもできる」

間違ってもいいから、具体的に言う

真面目な人ほど、失敗しないように無難な発言を選びがちだ。
他の人の意見を聞いてから話したほうが、安全だと考えるからだ。
しかし、評価されたのは、稚拙でも最初に具体的な案を出した若手だった。
その案が、会議を動かすきっかけになったからだ。
会議で発言する前に、一度だけ自分に問いかけてみる。
「これは、話を前に進める発言だろうか」と。
「検討が必要ですね」と言いかけたら、たとえ粗くてもいいので、ひとつ具体的な案を添えてみる。
それだけで、「無難なことしか言わない人」から「頼りになる人」へと、周りの見る目は変わっていくのではないだろうか。