話をにこやかに聞き、相手のこともきちんと褒めている。「感じのいい人だね」と言われるのに、なぜか次の誘いが来ない。気づけば、親しかったはずの人とも少しずつ疎遠になっている。そんな違和感を抱えている人にぜひ読んでほしいのが『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著)だ。人が離れていく人が、相手の話を聞いたあとに無意識に口にしているひと言について、本書から引用しつつ紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

いい人なのにPhoto: Adobe Stock

人が離れていく人の共通点

「あの人、悪い人じゃないんだけどね」
「話していると、なんだか疲れる」
「いい人なのに、また会いたいとは思わない」

周りから、そんなふうに思われている人がいる。

本人は愛想もよく、相手の話にもきちんと反応している。

褒め言葉もよく口にする。

それなのに、なぜか少しずつ人が離れていってしまう。

その原因は、話し方のうまい・下手ではないことが多い。

相手の話を聞いたあとの、ほんのひと言にある。

「すごいね」のあとに続くひと言

そのひと言を表しているのが、次の一節である。

「へぇ、そうなんだ! すごいね! そういえば私さ……」
このようになんでもすぐに自分の話をしようとする人がいます。相手の話に反応はしつつも、すぐ自分の話に引き込もうとする人です。
このような人は「他者の承認」をすると、その分、釣り合いを取ろうとして自分の話をせずにはいられないのです。
――
『頭のいい人が話す前に考えていること』より

人は誰でも、他人から認められたいという気持ちを持っている。

相手を「すごいね」と褒めた瞬間、今度は自分も認めてほしくなる。

だから、つい「そういえば私さ」と自分の話を始めてしまうのだ。

本人に悪気はない。

むしろ、相手の話をちゃんと聞いて、きちんと褒めているつもりでいる。

しかし、話していた側からすると、自分の話はいつの間にか終わっている。

気づけば、相手の話を聞かされる側に回っているのだ。

これが何度も続くと「この人と話すと、結局この人の話になる」と感じるようになる。

そして、少しずつ距離を置かれてしまう。

自分の話をする代わりに、もうひとつ聞く

では、また話したいと思われる人は、どうしているのだろうか。

ポイントは、相手を認めたあとに、自分の話をしないことだ。

たとえば、相手が「学生時代は吹奏楽部だった」と話してくれたとする。

「僕は楽器をやったことがなくて、ずっと野球部で……」

と返せば、話題はそこで自分のほうへ移ってしまう。

そうではなく、「大所帯だったんですか?」「大会もあったんですか?」と、相手の話をもうひとつ掘り下げてみる。

そのうえで「県大会でいいところまで行くだけでもすごいですね」と伝えれば、同じ「すごい」でも、相手が受け取る印象はまったく違う。

“話を最後まで聞いてもらえた”と感じるからだ。

本書では、知的で慕われる人の態度を、他者を褒めつつ、自分は「なんでもない人間です」という顔をすることだと説明している。

人を認めることと、自分を認めてもらうことを、同じ会話の中で釣り合わせようとしなくていい。

本書には、社員一人ひとりの子どもの受験日まで覚えていて、「息子さんの受験が心配なら、今日は帰ったらどうだ」と声をかける経営者が登場する。

社員たちはその社長を「本当にすごい」と口をそろえて慕っていたという。

人が誰かを認めたくなるのは、その人の自慢話を聞いたときではない。

自分のことを考えてもらえた、親切にしてもらえたと感じたときなのだ。

承認欲求を満たしてもらう側ではなく、満たす側に回る。

「すごいね」と言ったあと、自分の話をしたくなったら、ひと呼吸おいて、もうひとつ相手に質問してみる。

それだけで、「また話したい」と思われる人に近づけるのではないだろうか。