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南カリフォルニアの砂漠をオフロードバイクで走っていた営業幹部のスコット・ネルソン氏は、バイクを止めてライフルを取り出すと、自分の古いiPod(アイポッド)を撃ち抜いた。
ネルソン氏は アップル にフラッシュストレージを販売していたが、常に取引で最悪の条件を強いられていると感じることに嫌気が差していた。彼が勤める日本の製造会社キオクシアにはほとんど交渉力がなかった。 アップル は、iPhone(アイフォーン)で写真や音楽、アプリの保存に使われる半導体であるフラッシュメモリーの世界最大の買い手であり、その立場を利用してサプライヤーから最後の1セントまで絞り取っていた。フラッシュメーカーに帳簿を開示させ、他社が自社より有利な条件を得ていないか監視していた。
キオクシアや他のメーカーは、アップルがわずかな金額で買い取ったフラッシュストレージを、顧客に何倍もの価格で販売していることに不満を募らせていた。交渉力の格差にネルソン氏はいら立ちを感じ、抗議の意味でアンドロイド端末を使っていた。
ネルソン氏は、フラッシュを初めて採用したアップルの製品であるiPodの壊れた破片を取っておいた。それは同氏の机の上に置かれており、形勢が逆転した今、特別な意味を持つものとなっている。
調査会社テックインサイツによると、この1年で人工知能(AI)向けハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)による需要がフラッシュの価格を5倍に押し上げ、キオクシアや他のサプライヤーにとって新たな時代が幕を開けた。テックインサイツの推計では、2年前、アップルは マイクロソフト 、 アマゾン・ドット・コム 、 メタ・プラットフォームズ 、グーグルの合計の約2倍に相当するフラッシュストレージを購入していた。現在では、ハイパースケーラーの購入規模がアップルの2倍となっている。







