中国が新疆で見せる商業的野心、人権侵害批判よそに新疆ウイグル自治区カシュガルで観光客向けに踊る若い男性 BRIAN SPEGELE/WSJ

【カシュガル(中国)】国連人権高等弁務官事務所は4年前、中国が西部辺境の新疆ウイグル自治区で行っている人権侵害は非常に深刻で、「人道に対する罪」に当たる可能性があると指摘した。

 ウイグル族が恣意(しい)的に拘束され強制労働に使われているとの証拠が増える中、米国は同自治区からの輸入を大幅に制限し、数十社の中国企業をブラックリストに加えた。

 ドイツの化学大手BASFや自動車大手フォルクスワーゲンなどの国際企業は新疆の工場を運営する合弁会社の株式を売却し、米スポーツ用品大手ナイキやスウェーデンの衣料品大手H&Mはこの地域からの製品調達を行わないと表明した。

 しかしウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の現地取材によると、習近平国家主席は国際的な非難にもかかわらず新疆の変革を推し進めている。

 シルクロード交易の歴史的拠点であるカシュガルのショッピングモールでは、米スポーツ用品のアンダーアーマーや米ソフトクリームチェーンのデイリークイーンといった西側ブランドが出店しており、中国人買い物客でにぎわっている。英高級多目的スポーツ車(SUV)「レンジローバー」が市内の通りを走り回る。クルミから大型トラックまで、地元産品の輸出はロシアや中央アジアでの需要増加もあって急増している。

観光客の多くは漢族だ観光客の多くは漢族だ
PHOTO: BRIAN SPEGELE/WSJ

 国の支援を受けた企業が新疆に資金を注ぎ込み、太陽光発電施設やデータセンターを建設している。当局は新疆を巨大な貿易・物流拠点に変えるため数十億ドル規模の投資を急いでおり、その中には中国から欧州への鉄道輸送を1週間短縮することを目指す新路線も含まれる。新疆の対外貿易は昨年、20%近く増加した。

 一方、観光業の発展により、公式データによると昨年は地元経済に500億ドル(約7兆9000億円)の収入がもたらされた。好奇心旺盛な漢族と外国人がこの辺境の地を体験しに訪れている。