中国の習近平国家主席 Photo:Pool/gettyimages
「政府の借金が102兆5000億元に達したのに、隠れ債務は2年で半分以下」――。中国政府が公表した数字は、一見矛盾した動きを示している。地方政府の隠れ債務は整理が進むが、地方では国有地使用権の譲渡収入が急減し、一部の地域では投資にも制限がかかる。隠れ債務を整理しても政府の借金が膨らみ、地方財政が苦しくなるのはなぜか。中国経済を蝕む悪循環の仕組みを明らかにする。(中国政治研究者 王 彦麟)
隠れ債務は減ったのに
政府の借金は膨らむ
中国政府の借金が、ついに100兆元を超えた。
中国国務院が2026年8月、全国人民代表大会(全人代)常務委員会に提出した「2025年度政府債務管理状況に関する報告」によると、2025年末の政府債務残高は102兆5000億元、日本円で約2400兆円に達した(2026年10月20日時点の為替レート)。内訳は国債41兆2000億元、地方政府の法定債務54兆8000億元、そして地方政府の隠れ債務は6兆5000億元だ。
注目したいのは、隠れ債務の減少だ。政府全体の借金は2023年末の85兆元から、2025年末には102兆5000億元へと17兆5000億元も膨らんだのに、隠れ債務は2023年末の14兆3000億元から、わずか2年で半分以下に減った。習近平政権は借金問題を解決しつつあるのか。それとも、単に借金の姿を変えただけなのだろうか。
地方政府の
隠れ債務とは
中国の地方政府が発行できる地方債には、国が認めた限度額がある。だが、道路や工業団地を建設するには、その範囲内の資金だけでは足りないこともある。そこで長年利用されてきたのが、「地方政府融資平台」と呼ばれる地方政府傘下の投資会社だ。








