伊勢の老舗和菓子メーカー・赤福で、大規模な不正が発覚した。冷凍保存による賞味期限のごまかしだけならまだしも、売れ残り商品の日付を変えての再出荷や原料の再利用など、組織ぐるみのインチキを、伊勢神宮のお膝元でやっていたわけだから、驚き呆れる。再起への条件は相当に厳しいものになるだろう。
赤福は個人的にも印象の深い菓子だ。私事で恐縮だが、昔、私の父が北海道で土産物店をやっていた頃、赤福は彼の憧れの商品であった。誰もが知っていて、シンプルで美味い。自分も赤福のような商品を持ちたいと父は夢見ていた。加えて、私は、赤福が好きでよく食べた。冷凍すれば日持ちすると前もって教えておいて貰えたら、助かったのに、という恨みも少々ある。
尚、本論とは関係ないが、不二家など食品関係の同様の不正の事例から思うに、食品の「賞味期限」や「消費期限」は幾らか厳格に設定されすぎているのかも知れない。期限そのものがもう少し長くていい場合が多いだろうし、製造日、出荷日さえ誤魔化さなければ、あとは、目処を提示して、消費者の判断に任せるといったことでもいいのかではないか。
不正は隠せなくなる大きさまで育つ
それにしても、食品関係では、不正や事故が露見することのダメージが非常に大きい。株式投資の世界では、食品会社は景気変動の影響を受けにくく収益が安定しており「ディフェンシブ」(防衛的)と呼ばれることが多い。だが、ここのところ不二家やミートホープなど食品会社で問題が続いており、たとえそれが事故に近いものであっても、一旦風評問題が生じると、雪印がそうだったように、一気に企業存亡の危機に立たされることが少なくない。
もっとも、今回のテーマは、賞味期限ではなくて、赤福のような不正がなぜ行われ、なぜ露見するのかについてだ。近年、この種の不祥事があまりに多いように思うのだ。