中古の戸建てを買うメリットは、価格の安さと可変性が大きいこと。工夫次第で新築以上の広さ、グレード、住み心地を手にすることも夢でない。しかし、戸建てリノベーションを「自分で実践」するとなると、非常に手間がかかるのも事実。そこで、個人がリノベーションを成功させるポイントを、一級建築士で不動産鑑定士の田村誠邦氏に聞いた。

築20年以上なら新築の半分の予算で済む

「中古住宅を買ってリノベーションする」という人は、まだ少数派。何に着眼して選べばよいのだろうか。

「私のイチオシは、築20年以上の中古戸建て。新築の5~6割の価格で手に入るうえ、マンションよりはるかに自由に増改築ができます。限られた予算で、ライフスタイルに合った住まいを手に入れる最善の方法だと思います」

 そう語る田村誠邦氏は、自身も中古住宅をリノベーションして住んだ経験を持つ。

 中古住宅の最大のメリットは手頃な価格。築20年以上なら建物の評価額はほぼゼロになるから、手を入れれば十分に住める住宅を、土地代だけで手に入れられる。

 もちろん、立地だけでなく、敷地の条件や、建物の保存状態をよく吟味することは必要。それでも、現在の中古住宅は築年数だけで建物評価されているため、住める家でも取り壊しが前提の「古家」にカウントされることがある。そのため、解体費用の分だけ、更地価格より安くなるケースさえある。

「都内で4000万円の新築住宅を探すとしたら、狭隘(きょうあい)敷地に建つ3階建てがせいぜいです。でも、築20年以上の物件ならもっと広い敷地の2階建てが2000万円台からある。これに1000万~1500万円かけてリノベーションすれば、新築並みの安全性と快適性、耐久性が確保でき、間取りや内装も注文住宅のように、全く自分らしい家になります」