建設工事の現場でよく見かける"真っ赤な建設機械"は、全国に400カ所以上のサービス拠点を構えるアクティオという会社のレンタル商材である。日本で、建機のレンタルという業態を開拓し、今では「レンサルティング」(レンタル+コンサルティング)を標榜する国内トップ企業は、競合の大手3社を売上高で2倍以上引き離す。世界3位でもある個性派企業の創業社長が胸中を明かした。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

――国内の建機メーカーでは、油圧ショベルなどの新車の販売先の60%以上がレンタル会社だといわれています。各社によって、多少の差があるとはいえ、過去10年ほどは、新車よりもレンタルのほうが上回っています。国内で新車が売れなくなってきた中で、危機感を抱いた建機メーカーは自社系列のレンタル会社を立ち上げています。ですが、専業のレンタル会社は、メーカーを問わずに各種の建機を扱うばかりか、水中ポンプから中小型発電機や仮設トイレまで、建設現場で必要になる、ありとあらゆる商材を幅広く取り揃えています。

 はい。建機のレンタルは、高度に発達した経済文化で育ちます。レンタルの原理・原則は、「所有するより、借りるほうが効率がよい」ということです。

こぬま・みつお/1937年、栃木県生まれ。4年間の大手ゼネコン勤務を経て、64年に光進電気工業所を創業。67年に、レンタルに主眼を置く新電気㈱を設立する。建設業界では、「レンタルの新電気」として社名が知られる存在になったが、91年にアクティオに変更する。2011年の東日本大震災では、複数の営業所が津波で建屋ごと流されたり、基幹工場が壊滅的な被害を受けたりしながらも、回収した発電機の分解・修復作業で陣頭指揮を執る。健康法は、「過去30年間続けている、毎日1万歩のジョギング。休むと、気分がモヤモヤする」と笑う。
Photo by Shinichi Yokoyama

 私は、50年近く前に、この点に着目し、「建機をレンタルする」という、それまで日本には存在しなかったビジネスを立ち上げました。それからは、国内の大手ゼネコン会社や、全国各地の建設会社の"お手伝い"に徹しながら、時には東京湾アクアラインなどの大規模国家プロジェクトにも参画を果たすなど、建設工事に関係するほとんどすべての分野へと事業を展開し、少しずつ商材を増やしてレンタルの効率性を広めてきました。そういう自負があります。

――国土交通省の統計によると、国内の建設投資額は1992年度の83兆9708億円をピークに右肩下がりの状態が続いていました。一方で、アクティオの業績は、多少の凸凹はあっても、基本的にはずっと右肩上がりの状態をキープしています。2013年度は、グループ全体の売上高が2100億円に達する勢いです。

 それでも、95年の阪神・淡路大震災の直後は、ガクンと下がりました。当時は、今ほど会社の規模は大きくなかったのですが、売上高は600億円台から500億円台へと落ちて、さらに下がる可能性もありました。そんな苦しい状況の中で必死に考えた結果、「値引きして受注するばかりが能ではない」ということに思い至りました。あの頃は、レンタル会社を使う立場のゼネコン側の受注状況が厳しかったので、まず値引きすることから会話がスタートしていました。

 そこで、97年頃より、「レンサルティング」(レンタル+コンサルティング)という新しい概念を打ち出して、それまでの"単なるモノ貸し業"から"付加価値の高いサービス業"への脱皮を強力に進めていきました。商標登録もしています。実は91年に、社名を「AKTIO」(ドイツ語で「行動」を意味するAKTIONを語源とする造語)に変更したのも、そのような思いからだったのです。