今年4月15~21日、ドイツのミュンヘンで開かれる建設機械の国際見本市(BAUMA2013)に世界の建設業界の目が注がれている。
日本のコマツが情報・通信機能を使って無人操作などを可能にする“ICT建機”をお披露目する一方で、欧米の建機メーカーからは“環境対策(排出ガス規制)で最も進んだ新型建機”が登場するとの事前情報が流されている。
2013年は、世界の建機メーカーの排出ガス規制への対応が大きなテーマになる。その照準は、14年からスタートする第5段階の規制に当たる「Tier4 final」(最終版)。それを見越して、13年4月以降に世界の建機メーカーは続々と新型建機を市場に投入するというわけだ。ドイツの見本市は、その前哨戦という位置付けである。
排出ガス規制では、日本は1996年より欧米諸国と歩調を合わせて段階的に進めてきた。日本で法律(オフロード法)になったのは06年からだ。主眼を置くのは、「ディーゼル・エンジンから排出されるPM(粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)の削減を義務付けること」(日立建機の幹部)である。
現行の11年規制「Tier4 interim」(暫定版)は、06年規制の「Tier3」に比べてPMの排出量を約10分の1、NOxを約2分の1に減らすことが課された。そして、14年からの「Tier4 final」では、「Tier3」に比べてNOxを約10分の1に減らさなければならない。
14年から始まる「Tier4 final」の前に、あえて「Tier4 interim」(11年規制)という3年の移行期間を設けたのは、技術的な難易度が高く、建機メーカーでの開発が追い付かないとの裏事情があったからだ。その技術水準は、有識者の間で「空気よりもキレイな排気ガスが出てくる」と笑い話になるほど、“突き抜けて”いる。