規模で2倍以上の開きがある、コマツと日立建機。どちらも資源メジャーズによる鉱山機械の投資抑制により、再び社内の“効率性の追求”が経営課題となっている。日立建機の悩みに着目した。

 国内の建機業界では、この春以降に、主戦場の中国で「油圧ショベル」の販売台数が前年同月比でプラスに転じる“明るい材料”が出てきた。

 だが、その一方で、過去数年の好業績を牽引してきた「超大型油圧ショベル」や「ダンプトラック」などの“鉱山機械”の需要が減退し、苦戦が続いている。

 7月29日、世界2位のコマツと同3位の日立建機は、2013年度第1四半期(4~6月期)の決算を発表した。いずれも、インドネシアやオーストラリアで鉱山機械の販売が低迷したことが響き、減収、営業減益となった。

 コマツは、連結売上高が前年同期比3.1%減の4551億円、営業利益が5.9%減の524億円。一方で、日立建機は、連結売上高が7.0%減の1865億円、営業利益が27.9%減の95億円と振るわなかった。

 もとより日立建機は、図(1)のように連結売上高に占める鉱山機械の割合が増加傾向にある。だが、第1四半期の決算で最終利益が11億円の赤字に転落したことから、すでに用地を取得してオーストラリア西海岸で準備中だった鉱山機械の第2組立工場(ブロック単位の中継基地)は、建設を延期することに決めた。

 鉱山機械の需要が低迷した背景には、新興国経済の減速で世界的に鉄鉱石の需要が鈍化したことにより、資源価格が下落して生産量が伸び悩んだことがある。海外の資源メジャーズが大型の設備投資を控え始めたことから、建機メーカーは“足踏み状態”となった。

 実際、これまで鉱山機械を購入してくれた資源メジャーズのブラジルのヴァーレ、豪英BHPビリトン、英豪リオ・ティントなどは、13年1~6月期の決算で減収減益に陥り、しばらく開発投資を抑制する方針を打ち出している。

 日立建機の幹部は、こう明かす。「実は、建機の中でも特殊な領域である鉱山機械は、世界でも製造できるメーカーの数が限定されていたこと、汎用品ではないことから専用部品はすべて純正品が販売できたこと、納入後にはサービス収入が得られたことなどから相対的に利益率が高かった」。