日本時間12月6日午前6時52分、共同通信が「南アフリカのズマ大統領によると、同国のマンデラ元大統領が死去」と速報ニュースを配信しました。
人類の歴史を振り返る時に最も偉大なる出来事の一つは、啓蒙思想の普及です。
ジャングルに生息する動物をはじめ、全ての生命は弱肉強食の厳しい現実の中で適者生存の競争を強いられています。生命は、そうやって40億年の旅を続けてきたともいえます。が、人類は違います。
幾多の殺戮と迫害の末に、やがて自由・平等・博愛の精神に立脚して、国づくりをはじめます。しかし、いち早く議会制民主主義を発展させた英国やフランスこそがアフリカ、中東、アジアで植民地支配を始めたことは皮肉なことです。矛盾に満ちた人間の不完全さを示しています。
啓蒙思想が掲げた理想とは裏腹に、現実の世界には植民地があり白人至上主義がありました。当然の如く差別がはびこっていました。そんな状況に立ち向かった偉人たちがいます。アブラハム・リンカーン、マハトマ・ガンディー、マーチン・ルサー・キングです。そしてネルソン・マンデラもそこに列せられるのです。
マンデラは、27年に及ぶ獄中生活でも信念を貫き、人種隔離政策アパルトヘイトとの闘いに勝利しました。南アフリカ初の黒人大統領となり、95歳で逝きました。
と、いうわけで、今週の音盤は、獄中にあったネルソン・マンデラを支援する反アパルトヘイトで結集した音楽家たち(アーティスト・ユナイテッド・アゲンスト・アパルトヘイト)による「サンシティ」(写真)です。
陽光溢れる高級リゾート地の欺瞞
サンシティとは、その名の如く1979年12月にオープンした南アフリカ共和国の北東部にある高級リゾート地の名称です。そこは、南アフリカ内外の白人富裕層が余暇を楽しむための場所でした。欧米の一流ミュージシャンが来訪し、白人のために演奏し、高額のギャラを得ていました。一方、同じ南アフリカの国内でありながら、サンシティの外では、法律によって黒人は隔離され強制的に退去させられていました。それが南アフリカの現実でした。