考えてみれば、彼らは本来であればこんな小さなプロダクションに入社する人材ではない。総合商社、大手メーカー、銀行、大手広告代理店などに就職していれば、1.5倍ぐらいの給与が得られたのかもしれない。これまで社員の大半が20代だったのでそれほどの格差はなかったが、大手企業で出世を繰り返せば給与格差は軽く、2倍を越えるだろう。事実、プレスラボに転職した元広告代理店勤務の社員は、転職で月給が7万円下がったと話していた。

 僕はある日ふと不思議に感じた。「なぜ、この大手企業の社員と比べて能力に遜色のない社員達は、この会社でこの月給で働いてくれているのだろうか」、と。元々編集職は一部の大手をのぞいて業種的に給与がそれほど高くない(そのわりに労働時間が長い)。日本の場合、ほとんどの出版社が中小企業である。能力的にはもっと高収入でも良いはずの彼らは、なぜこの給与で満足するのか。

 満足してくれている理由の1つは、会社が成長を繰り返してくれたおかげで、高スピードで昇給できたことだ。会社が成長し、その成長の果実を配分できていること。出版不況で業界的に悲しいニュースが多い中で、きちんと成長を実感できる職場環境だというのは大きいだろう。

 が、それだけではない気がする。これが承認欲求とも重なるポイントである。

編プロの業務内容から見える
承認欲求を満たす仕事の正体

 端的に言って、僕の会社の場合、たまたま業務内容が、承認欲求を満たしやすい職場であることが分かったのだ。以下に羅列しよう。

1.自分の仕事(記事)に名前(署名)が付くこと。
2.仕事が何らかの社会的意義を持っているケースが多い。
3.自分のオリジナリティを発揮できる。
4.仕事を選ぶ権利がある。
5.仕事の成果が目に見える形で評価される。
6.職場の人間関係が良好である。
7.社員間に不公平感がない(世代間格差がないので年功序列がない)。