誤解なきよう書き添えるが、筆者は元来、生真面目な人間である。めったにダジャレなど発することはない(と思う)。そんな生真面目な筆者までも、をダジャレワールドに引き込んでしまうのだから、サバのラテン効果は恐るべしである。

 それにしても、思い出すたび冷や汗が出る。ランバダを知っている世代が多くて良かった……。

サバを持った老人が飛び跳ねる!?
サバンギャルドな「鯖踊り」の衝撃

 ところで、日本にはサバにまつわる神事も多い。なかでも、池田さんがとりわけ注目しているのは石川県穴水町に伝わる「鯖踊り神事」とか。毎年、4月4日の春祭りに地元の神社で催される伝統行事である。

「それが、メチャメチャ、サバンギャルドなんですよ!!」

 サバンギャルドな鯖踊り。そのやたらラテンな響きに誘われた筆者は国会図書館まで行き、その神事について調べた。すると、『鯖のはなし:大衆魚「鯖」の知られざる輝かしい経歴』という本の中に、その詳しい記述を発見した。

 本によると、鯖踊り神事はこの地に伝わる「ムジナ退治」の話が元になって生まれた。ムジナの妖怪に田畑を荒らされて困った村人たちが、神のお告げにより、桃の節句に未婚の娘を人身御供に供えていたのだが、ある時、富山の薬売りがやってきて、にっくき妖怪を退治してくれた。それを喜んで踊ったのが「鯖踊り」の始まりという。

 ただし、「なぜ、鯖なのか」に関しては「妖怪がそれを食べて油断しているところをバッサリ切った」という説と、「ムジナの代用品」という説がある。いずれの説が正しいか、はさておいて、知れば知るほどその踊りがまたシュールなのだ。実際に、それを目撃した池田さんの証言から。

「えーと、ですね。まずは、まな板に塩鯖と包丁をくくりつけるんです」

「ま、まな板ですか?」

「それを掲げて、右へ、左へ、と飛び跳ねる」

「えっ、まさかの反復横跳び!?」

「そう、そんな感じです」

 正確に言うと、それは反復横跳びとは若干違うものだった。参拝者が左右に分かれて座っているその真ん中を、烏帽子姿の村人代表が先のまな板を掲げ、右へ、左へ、と飛び跳ねながら拝殿にまで進んで行く。その際、足音を激しく鳴らすのが決まりのようで、その所作を「踊り」と称している。